JR岐阜駅前の問屋町の再開発事業は、4月より本格的な建築工事がスタートした。
現在、再開発組合では、工事のさまざまな調整を行いながら、同時に完成後の再開発ビルの管理ついても検討を進めている。建物が完成すると再開発組合は解散し、新たに管理組合を立ち上げ建物管理を行うこととなる。しかし、問屋町の再開発ビルほどの規模になると、年間の管理費用が共用部分だけで数千万から1憶円近い金額になると言われており、巨大施設を安全かつ円滑に運用していくことはそんなに簡単ではないことが分かる。権利者の多くはこれほど大規模で、複雑な用途の建物管理の経験がないため、今回、再開発ビルの視察を行うこととなった。
視察先は尼崎市にある「フェスタ立花」で、階数こそ問屋町の再開発ビルより低いが、床面積で1.5倍の規模である。建物は問屋町と同じ2棟構成で用途も住宅、商業、業務、駐車場などの複合施設、さらに問屋町と同じようにJR駅からデッキにより直結しているということで、大変参考になる物件である。
「フェスタ立花」は2000年にオープンしており、すでに10年間の運用を行ってきたビルである。実際に管理にあたる管理組合の理事にもご参加いただき貴重なお話を伺うことができた。まず、管理業務の委託契約を結ぶ管理会社の選定では、コストと管理グレードのバランスが重要であるようだ。コスト重視で管理のグレードが低ければ施設の陳腐化も早く、テナント経営にも支障が出る。信頼のおける管理会社とできるだけ安い金額で契約するためには、数社からの見積もり徴収や管理内容の提案を受け慎重に選ぶ必要がある。次に、管理費用の削減では、毎年のコストの見直しや見積もりの徴収など、少しでも安くするため日々の努力の積み重ねが必要とのことである。また、少しでも管理組合への収入になる部分があると助かるそうで、例えば駐輪場の一部有料化や、看板の使用料の徴収などを行っているそうだ。
その他、施設の見学では参加者は通常ではあまり目にすることのない、防災センターや機械室を視察し、巨大施設の裏側で行わる管理業務の一部を体感することができた。また、同行していただいた、管理会社の担当者や、管理組合の理事の方へ多くの質問を行い、有意義な時間を過ごすことができた。再開発組合では今後も視察を企画しており、本年度には管理会社の選定を行う予定である。 |