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複合商業施設「ラチッタデッラ」

川崎市

 昨年暮れにJR川崎駅東口から徒歩約5分の所に位置する「ラ チッタデッラ」を視察した。2002年11月に開業したシネマコンプレックスを核としたメイン施設「マッジョーレ」棟や昨年10月にオープンした「ビバーチェ」棟をはじめ、6棟から構成される複合商業施設である。東京汐留再開発エリアにおいて大規模なイタリア街「チッタ・イタリア」建設事業が進められているが、「ラ チッタデッラ」は、マイカル桑名、福岡のキャナルシティ、大阪なんばパークスを手がけたジョン・ジャーディのデザインにより、小規模ながらも趣のあるイタリアの古い街並みが再現されている。イタリアのヒルタウン(丘陵に造られたまち)をモチーフとして建設されたマッジョーレ(中心という意味)棟には、14スクリーン、約4,300席の首都圏最大級の席数を誇る映画館のほかに、迷路性の高い石畳の坂道に面してオープンモール形式の飲食・物販34店舗が軒を並べ、町の頂上にはチャペルが配置されている。棟正面の噴水を囲んでクローズドモール形式でアパレル中心の26店舗が入ったビバーチェ棟と映画館のチネグランデ棟が歩廊でマッジョーレ棟とつながり、ジャーディらしい変化に富んだ空間演出がなされている。その他、ライブホールや深夜まで営業するレストラン・バー等の路面店などもあり、多様な時間対応型の商業施設となっている。平日の寒い日にもかかわらず、小さな子ども連れの30才代夫婦や若者が多く散策していた。

 東京を中心に大規模な高層・高容積型の複合商業開発が大きな話題となっているが、需要面から高容積化を追求した従来の再開発が困難な地区における施設整備のあり方として、「ラ チッタデッラ」のような低容積・高密度型の開発は、一つの参考になるのではなかろうか。


(2004.1.21/浅野泰樹