現在の位置:TOP>まちづくりを学ぼう>視察レポート>世界遺産の峠路 苔むす石畳の馬越峠道 WWW を検索 スペーシアサイト を検索

 

世界遺産の峠路 苔むす石畳の馬越峠道
 1ヶ月ほど前に世界遺産登録が決定した「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である熊野古道の馬越峠道を訪れた。「紀伊山地の霊場と参詣道」は、熊野三山、吉野・大峯、高野山の3つの霊場と、これらの参詣道である熊野参詣道(熊野古道)、大峯奥駆道、高野山町石道からなっている。三重県、奈良県、和歌山県の合計29市町村にわたって広がる日本最大の文化遺産である。そして、馬越峠は三重県の尾鷲市と海山町の境に位置し、熊野古道の数ある峠のひとつである。「紀伊山地の霊場と参詣道」の中からこの馬越峠道を訪れることにしたのは、道を要素とする世界遺産は世界的にも珍しいため、熊野古道で最も美しいと言われる石畳を見たかったため、そして日ごろの運動不足の解消のためである。
 今回は海山町にある道の駅・海山に車を置き、馬越峠登り口から馬越峠、馬越公園と続く馬越峠道を歩いた後、尾鷲駅近くのバス停から道の駅に戻るという約3時間のコースを選んだ。馬越峠道には、日本一の多雨地帯を証明するかのように茂るシダ植物、尾鷲ヒノキの美しい林、美しい苔むす石畳、夜泣き地蔵や一里塚などがあり、素晴らしい空間である。特に登り口から馬越峠までは江戸時代に紀州藩によって大雨から道を守る目的で敷かれたと言われる石畳が見事に現存している。
 この世界遺産である馬越峠道を訪れる際に是非寄っていただきたい場所が2ヶ所ある。1つは馬越峠から30分ほど険しい道を登ったところにある「天狗倉山」である。山頂にある大岩からは尾鷲市の町並み、海山町の山並み、尾鷲湾や熊野灘なども一望でき、まさに絶景という言葉があてはまる眺望である。
 もう1つは馬越公園と尾鷲駅の間にある「まちかどHOTセンター」である。今年の4月末から尾鷲市が以前薬屋であった民家の1階を借りて設置した熊野古道の案内所であり、隣にあるボランティアが運営する「馬越屋」とともに熊野古道を訪れる人の休憩所としても利用されている。お昼ご飯のお店や帰りのバスの案内はもちろんのこと、「天狗倉山の岩の上でお弁当食べると最高だよ」、「僕は八鬼山越えの方が好きだね」などと熊野古道に関することを色々と話していただき、もてなしの心を感じた。
 「紀伊山地の霊場と参詣道」には「八鬼山越え」や熊野三山など訪れてみたい場所が多くある。馬越峠道や「天狗倉山」のような美しさを感じる体験はもちろん、「まちかどHOTセンター」のような人の温かみに触れる体験ができることも期待したい。

尾鷲ヒノキと石畳
 

まちかどHOTセンター(手前)と馬越屋
  (2004.8.18/山崎 崇)