最近、フードテーマパークが相次いでオープンしている。昨年11月に横浜中華街に開業した「横浜大世界」。1920年代の古き上海における富豪や女優・芸人の部屋を再現した「時の塔、時の回廊」ゾーン、京劇などの伝統芸能が実演されるエンターテイメントゾーン「ノスタルジアホール時の舞台」、吹き抜けの回廊に立ち並ぶ13店の中華飲食店からなる「横浜大世界美食中心街」等などが8階建の建物の中に組み込まれている。入館料として大人500円が必要であるが、休日であったことや観光地「横浜中華街」の集客力もあって館内は来館者でごった返していた。「中華飲食」のテーマパークは、この他、立川、千里、お台場など各地で整備されている。当社が長年関わった大須地区市街地再開発事業により完成した大須301ビル3階の「大須中華街」も大きな話題となった。
また、今年2月には、脱サラ開業者の店などを集めた「池袋ひかり町ラーメン名作座」がオープンした。池袋の飲み屋横丁「ひかり町」の路地裏の一角、仮設店舗かと思わせるような建物に7店舗のラーメン店が集積した施設である。映画が大衆の娯楽として花開いた昭和30年代の雰囲気が売りとなっている。ラーメン店を1箇所に集めたテーマパークは、新横浜の「新横浜ラーメン博物館」(1994年開業)以来、全国に広がりを見せている。名古屋でも2002年12月、JR名古屋駅構内に5店舗が集積した「名古屋・驛麺通り」がオープンしている。
こ うしたテーマパークは、この他、清水の「寿司ミュージアム」、池袋のナンジャタウン内の「アイスクリーム・シティー」や「餃子スタジアム」、横浜の「カレー博物館」など数多く誕生している。また、東京汐留でもイタリアの街並みの中にイタリア料理店や物販店を集積させる「ヴィータイタリア」の建設も進んでおり、フードテーマパークのブームは当分続きそうである。
こうした施設は、旧来の飲食街に見られるような飲食店の寄せ集めではなく、色々なアイデア・工夫を凝らし、飲食にテーマ性を持たせ付加価値をつけることにより顧客層の拡大を狙うものである。しかし、消費者が常に新しい味や新しい店を求める時代である。どの施設もリピーター獲得に苦戦を強いられているようである。まちづくりと同様に、フードテーマパークも、やはり各店舗が飲食の基本である「味」を最も重視し、そこにパークとしての常に新しい企画やアイデアが付加され、楽しさをいつも提供できる施設のみが生き残っていくのであろう。
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