大阪市中之島にある中央公会堂から南へ約500m。明治時代後期に建てられた風格ある赤レンガ造建築がそびえ立つ。保険会社、証券会社の事務所として長年使われた後、昨年10月、高級フランス料理店として生まれ変わった。
証券会社の移転が決まった後、ビルの所有者がこの近代建築物の保存・活用を模索しコンペを実施。そこでビル所有者とフランス料理店長のコンセプトが一致、外観は大きな修復をせずそのまま生かす一方、内装は全面改修した。1・2階をレストランの客室として利用し、厨房は建物裏のスペースに増築することで、近代建築物再生のハードルと言われる消防法の規制をクリアしている。
この建物周辺は「船場」と呼ばれ、江戸時代初期からの長い歴史を誇る商業のまちであったが、今はオフィス、店舗、住宅が混在し、決して落ち着いて歩けるまちではない。改修を行った建築会社の担当者曰く、「ビル所有者、オーナーシェフの両者が満足する高級感のある店舗ができた。ここ一店だけでなく周辺にも広げ、大人が楽しめるまちをつくっていきたい」 風格ある近代建築物が比較的残っているこの地域。若者中心のにぎわいのあるまちが増えつつある中で、大人のまちとしての再生の可能性が高いまちだけに今後が楽しみである。
住所:大阪市中央区高麗橋2−6−4
構造・規模:コンクリート造及びレンガ造2階建
建築面積:68.7坪(226.7m2) 延床面積:163.6(540.7m2)
建築年:明治45年(1912年)
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