東京臨海部のウォーターフロントに立地。都庁から大江戸線で最寄りの勝どき駅まで直通30分弱と結構便利。 従前は、昭和30年代前半に旧日本住宅公団が整備した晴海団地、民間分譲マンション、配送センター・倉庫、東京都水道局や中央区所有の官有地などからなる地区。晴海のまちづくりの歴史は、地権者自らがまちづくりの計画案を描くことを目的として1984年に「晴海をよくする会」が発足したことにはじまる。
従前の560人(土地所有者174人、借地権者386人)の権利者や1,500人の居住者への対応、バブル崩壊などの多くの課題を乗り越えて2001年3月にグランドオープン。
職・住・遊が近接した都心居住を実現している。行政側(中央区)も晴海地区を人口回復のためのプロジェクトと位置づけており、晴海地区の成功を機に、他の住宅整備を含む再開発事業も同様に位置づけるようになる。
事業推進にあたって、権利者が多い住宅を公団施行、権利者が少ない業務・商業を組合施行とし、1計画2施行の方式をとった。これによって、従前居住者用住宅の先行整備(1997年8月〜12月)、第2期の商業・業務、新規住宅の整備(2001年3月)と段階整備を行い、地区に住み続けられるまちづくりを可能とした。
再開発ビルの管理運営は、地権者法人でつくる純民間資本の叶ー海コーポレーション(1988年12月設立)が行う。再開発事業に関わる法人としては、第3セクターや保留床所得する権利者法人の例はあるが、地権者自らが立ち上げた開発会社は初めてのケースで、企画段階から完成後の運営管理を視野に入れていた。そのため、バブル崩壊を背景とした事業の再構築、各社の経営方針や社内事情の違いなどにも対応することができた。
長引く不況の中でのコスト削減は重要な課題であるが、商業ゾーンをはじめ、こだわる部分には多少コストをかけてでもいい空間を作ろうとする意図がうかがえた。コストを考慮しつつも、施設完成後に後悔しないために多少無理してでも良い施設に仕上げることが重要なのだろう。
商業ゾーンには、専門店のほか、和・洋・中華などの料理がカフェテラス形式でお手頃な価格で食べられる「アリス・コレクション」がある。ビジネスマンにはうれしいところ。郵便局、コンビニもあり、”暮らし”の機能導入に配慮しているようだ。
一方でオフィスのグランドロビー(2階)などは、天井のガラス、ライトアップのための照明など、メンテナンス費用がかかりそうな単に”広い”だけの空間だ。
また、住宅ゾーンでは3階レベルに公園が設けられているが、住民の立場からすれば、やはり1階レベルに設置した方がよく、少々人工的すぎる感がある。業務・商業などの空間に設けられる屋上庭園ならわかるが、住民のためのコミュニティの空間であり、学校に隣接するなど周辺の土地利用を考えても1階レベルに公園がないのが少々残念だった。
間欠泉?で子ども達が遊ぶ。ちなみに前日まで東京は35度を超す猛暑だった
商業ゾーンで弁当を買ってくつろいでいる
オフィスゾーンからのながめ
住宅ゾーンから高層棟をのぞむ
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