川崎市、小田急新百合ヶ丘駅周辺地域を中心に9月29日から展開されていた「しんゆり芸術フェスティバル」の最後のイベントである「しんゆりアート市」が10月14日に行われた。駅南口ペデストリアンデッキ上の21のテントブース。そこで、芸術家やアマチュアによる陶芸、ガラス細工、竹細工、パッチワークなど様々な分野での個性的なアート作品やアート性をもった日常生活用品の制作実演、作品展示・販売がされている。
今年で7回目。ブース数は最盛期に比べ減っているとのことであるが、買物客や作品を楽しむ人で大いに賑わっていた。また、多くのブースでは、体験コーナーがあり、子供から大人までが楽しそうに作品づくりに取り組む光景が見られた。
公共デッキを利用するため、ブース出店者は若干の使用料が必要となる。制作指導にあたっている専門家のブースでは、自分が開いている教室のPR活動も兼ね、作品の展示・体験コーナーのみのものもあるが、作品を販売しているブースでは、それなりの売り上げが確保できているようだ。
アマチュアのブースでは、「自分たちの楽しみで制作した作品が売れることがうれしい。」「作品を作っても家庭内に長く置くスペースがない。販売できれば、また作ることができ、楽しめる。少しでも材料費の足しになればありがたい。」と評価が高い。私の知る限りでも、若手芸術家やアマチュアで、制作した作品の処置に困っている人は多い。
名古屋市でも社会教育センター等のイベントで、各種教室参加者の作品の展示・販売を行っているケースは見られる。しかし、「しんゆりアート市」のように、古来から受け継がれている「まちなかの市」の精神を生かし、生産する消費者の余剰品を人々との交流を通して市場に提供する試みは、アルビン・トフラーが唱えたプロシューマーの時代、消費者の手作りや創造性志向に対応した潜在需要の掘り起こしであり、まちづくりで今日、話題となっているコミュニティビジネスの構築を考える上での一つのヒントになるのではないだろうか。
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