以前、11月のメールマガジンで弊社堀内より西春町のパティオ事業についての紹介があったが、同じ再開発チームとして?ちょっとそこに関連した報告をしたい。
昨年2000年4月、表参道の駅を上がったすぐのところ、"天下のルート246"に面した場所に「南青山プラース」がオープンした。通路、中庭をとりまくブティックやカフェ、美容室などの店舗により構成されるコート型低層ファッションスクエアである。敷地は約2000u、私道や敷地延長部分を含んだ変形敷地のため、高度利用が難しいとされ駐車場だった土地を、東急不動産の「プラース事業・第二弾」として変身させた。
ちなみに第一弾は1997年11月にオープンした「代官山プラース」である。どちらも低未利用地に対し、事業用借地権などを用いて行う暫定利用型の商業施設開発である。そのため当然ながら、建物はとても簡単にできている。2年前はじめて「代官山プラース」を通りかがりに見たときは、まだ隣で工事中であった代官山アドレスの仮設店舗かと思ったほどである。それにもかかわらず、まったく安っぽさは感じさせない、それ以上に巧くパティオ(中庭)が使われていた。通りがかったのはちょうど夕暮れ時、帰宅途中のちょっと大人な若者たちが集い、しっかりと都会のオアシスの顔を創っていた。
<代官山プラースの様子>
そのプラースが南青山にもできたと聞いて、是非見に行きたかった。この「南青山プラース」のコンセプトは「南青山の青い空」である。大都会の真ん中に立ち、顔を上げて青い空を見る。超好立地の当然の宿命ともいえるが、通りに面した側のビルはそのまま何件かパティオを塞ぐ形で残っている。しかしそのおかげで横路地ができ、ビルの裏に潜り込んではじめて、青い空をもつ広場が目の前に開ける。
地方と違い、通りに面していなくてもなんとかなる東京という立地条件の良さはもちろん考えられるが、それ以上に不整形な敷地をかえって魅力的にする事業内容は、十二分に名古屋のまちづくりの参考になると思う。
代官山の方は花屋やレストラン、カフェなどが目立つが、こちらは南青山の場所がらブティックが多い。イッセイ・ミヤケのプリーツプリーツは大きな存在感を持っているが威圧感はない、他店舗も商店建築の雑誌に登場するデザイン性が高いものだが、決して入りづらいイメージはもたない。四角く抜けた青空の下、白いカフェパラソルに反射する陽の光が暖かい。裏通りの路地から広場を横切るサラリーマンの二人連れ、営業途中の憩いのひとときである。こういう感じ、名古屋の商店街のパティオ提案にも、「イケルんじゃないかな」と思わせてくれる。
<南青山プラースの様子>
共同事業を進めていくと、いつも突き当たる敷地形状の問題。しかし必ずしも整形にまとまった土地がなければできないわけではない。奥行きさえあれば通りに面した権利にあまり固執しなくてもいいんじゃない?と、事例を見れば目から鱗で納得できる。通りが塞がれていても、細い路地の向こうには陽当たりのいい中庭があって、そこにオープンカフェがある。車が走る通り沿いでお茶しているよりも、ずっと落ち着くはずである。東京なら日帰りもできる。中部地域の商店街のおじさんたちに是非見てもらいたい気持ちになった。
花のお江戸の開発は、条件も規模は全く違うけれど、やっぱりワクワクさせてくれる。小さな開発にもちゃんと花(華)があるのだ。
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