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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)   □[第456号]2018/1/19□  □配信数 735□


スペーシア・メールマガジンの第456号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆住まい・まちづくりコラム◆
 ・コミュニケーション力とストーリー展開の楽しい会話
 ◆図書紹介◆
 ・新しい分かり方/佐藤雅彦著
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○コミュニケーション力とストーリー展開の楽しい会話○

 正月に「さんまの東大方程式」(再放送)というテレビ番組あった。東大は日本で最高
学府と呼ばれているので、頭脳がキレる学生やユニークな学生がコメントを繰り広げて
いた。そのなかで、ある学生がブルーライトカットの眼鏡を買った話を友人にすると、
その答えが「親が白内障なの?」と言われ、その通りであるがゆえに、会話に疲れると
言っていた。つまり、話の展開の先が読み取れるので、途中を端折って結論のみを
言ってしまうのである。なぜその眼鏡を買ったのかを説明しながら、また、あれこれ脱線も
しながら楽しい会話を期待していたのに、結論のみ先走って話をしても、会話は弾まない。
まさに他人が聞けば「風がきつかったね」と言われ、「桶屋が儲かるね」の会話「風が
吹けば桶屋が儲かる」そのものである。そのプロセスである「土ぼこりが目に入る」→
「盲人が増加する」→「三味線で生活をたてる人が増える」→「三味線の胴に使われる
ネコの皮の需要が増える」→「ネコが減る」→「ネズミが増える」→「ネズミが桶をかじる」
→「桶が買われる」が省かれると会話は弾まないし、いきなり言われてもチンプンカンプン
である。そもそも現代においては「三味線で生活をたてる」と言われてもピンとこないのだが。
桶屋もピンとこない。
 わたしの友人で、部下のやる気を最も失わせる上司と言われた人物がいる。彼に聞くと、
彼の上司の指示は完璧に理解できるが、同席している彼の部下はその指示をあまり
理解できていないことが度々あったようだ。彼の頭の回転が速いことは言うまでもないが、
持っている情報量の差が理解度の差になっていることも多分に影響しているはずだ。
よって、部下に指示を出す際に結論だけで指示すると、情報量不足で結論までのプロセスも
不明のため、部下は動きようがない。結果を出せないので叱責され、また指示を出されるが、
それを繰り返すうち、やる気を失くすのである。そうなるとパブロフの犬の条件反射ではないが、
「彼の仕事=叱責=やる気失う」というイメージが固定化されるのであろう。
 同量の情報量と同質の頭脳回転力を持った仲間内では、上記の対応でよいし、その
会話は小気味良いものになっているのだろう。しかし、多種多様な階層や民族と一緒に
ビジネスを進めたり、コミュニティを形成したりしていくとなると、丁寧なコミュニケーション
なしにはことは進まない。逆に後退するかもしれない。
 今、「風が吹けば桶屋が儲かる」はどういうストーリーになるのだろうか?「風が吹く」→
「舗装された道路上の花粉が舞い上がる」→「花粉症の患者が病院に駆け込む」→
「薬が処方される」→@またはA
 そのあとのストーリー@はあくまでも桶屋にこだわり→「しかし目が痒くてイライラする」
→「家に帰るとその日の晩飯は寿司だった」→「家に帰ってもイライラは解消せず夫婦
ケンカが頻発する」→「手元にあった寿司桶をつい投げて壊す」→「桶屋が儲かる」
 もう一つのストーリーAは→「自己防御としても高級マスクと花粉対応用ゴーグルを
購入する」→「マツモトキヨシ(独自にマスクを販売)や通販会社が儲かる」→「商品を
提供する会社が儲かる(紡織会社・眼鏡製造会社・製薬会社など)」となるので、現代版
桶屋はマツモトキヨシにしておこう。
  「風が吹けばマツモトキヨシが儲かる」
(井澤知旦)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Topic/column/communicationryoku/

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 新しい分かり方/佐藤雅彦著 ○
 中央公論新社/2017年9月25日発行
  
 「ピタゴラスイッチ」をご存じだろうか。2002年よりNHK教育テレビで放送されている、
4〜6歳を対象にした番組である。「おとうさんスイッチ」や「アルゴリズムたいそう」といった
数十秒〜数分の短いコーナーの詰め合わせで構成され、子どもに飽きが来ないような
工夫がされている。その大きな特徴は、「知識を与える」のではなく、「考え方を伝える」
ねらいがあるということである。例えばおとうさんスイッチは、ボタンと動作の連動による
「対応」の考え方を、アルゴリズムたいそうでは、個々の動作の関連付けによる「手順」
という考え方を視覚的・聴覚的に伝える。決して説明的ではなく、感覚的に子どもが
おもしろいと感じられるような映像表現である。子どもの親などの大人からの注目度も
高く、2013年からは特別番組として「大人のピタゴラスイッチ」が製作されている。これまでに、
ソート、一対一対応、可視化、2値化、鳩の巣原理といった考え方が取り上げられた。
 番組を監修するのは元慶應義塾大学教授、現東京藝術大学教授の佐藤雅彦氏である。
佐藤氏は教育番組のほか、「コイケヤスコーン」や「ドンタコス」などのCMをはじめとした
数々のメディア作品を手掛け、印象的な作品を残している。
 佐藤氏の著書のひとつとして、「新しい分かり方」を紹介する。この本は、全ページの
7割を図や写真、白紙のページ占める。読者は文字のないそのページが何を示し、
どこにおもしろさがあるのか考える。例えば、右ページに金槌の写真、左ページに刺さった
釘の写真を見たとき、私は「このページの意図は、この金槌で釘を打ったと思えという
ことだな」と思った。続いて、右ページに石の写真、左ページに刺さった釘の写真を見て、
「前ページと同じ構成にすることで、石で釘を打ったと思わせようとしているな」と思った。
続いて、右ページにバナナの写真、左のページに刺さった釘の写真を見て、「冷凍バナナ
の実験を連想させようとしてるな」と思った。左右のページを無意識に関連付けて納得
いくようなストーリーを生み出すことにとどまらず、「ページ作成の意図」にまで考えが
及んだようだった。この本には、こうした読者に考えさせる表現作品が全部で60掲載され、
各作品に対応して解説がある。筆者がこれらを「『読書』という行いより、『体験』という
言葉を当て嵌める方が的確に思える」としていることから、これは決して現代アートの
作品集や脳科学の解説書ではなく、本という形態をとった体験型作品であるといえる。
 「考える」「分かる」体験は、自分の視野が広がるだけでなく、何かを伝えるとき他人の
能力として意識すべきことでもある。例えばイベントのポスターを作るとき、日時と会場を
大きく表記し、イベントの目的と概要を記述し、出演者の一覧や前回の開催風景の写真を
適切に配置すれば、見た人は誰もがそのイベントを知ることができる。見た人はそれらの
情報から行きたいと判断できるが、同時に行かないという判断もできてしまう。会場に
行かなければ分からない楽しさもあるのに、紙の情報だけで興味がないと判断をする
のである。また、全てが詰まったポスターは、見ればすぐに情報が入ることから、印象
には残りづらいだろう。そういう人に行かないと思わせないため、強く印象付けるために、
「分かる」体験が利用できるのではないだろうか。例えば、ポスターからわかる情報が
会場名だけだったとしても、ポスターに興味を持ってさえくれれば、会場名からいつ何が
あるのか検索ができる。もしくは今日やってるのかなと会場をのぞくかもしれないし、
これは何のポスターですかと案内所で尋ねるかもしれない。このように、「分かる」仕掛けを
ポスターの外に用意することで、ホームページや会場に誘導したり、話題にしたりできる
可能性がある。
 新しい分かり方を知るということは、新しい伝え方を知ることと同じである。頭の体操を
したいという方、伝え方のレパートリーを増やしたいという方に、ぜひ見て体験していただき
たい一冊である。
(日高史帆)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・先日、名古屋市内でクラウドファンディングを活用した古民家のリノベーション事例を
 見学させていただきました。現在工事中で、わずかでも出資協力をした事例はその
 進み具合が気になるもので、事業の成功を祈念して現地を後にしました。
 (T.A)

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を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
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