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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)  □[第431号]2017/2/1□  □配信数 733□


スペーシア・メールマガジンの第431号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆視察レポート◆
 ・多賀城市立図書館(宮城県多賀城市)
 ◆図書紹介◆
 ・つながる図書館−コミュニティの核をめざす試み−
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○多賀城市立図書館(宮城県多賀城市)○

 東北の玄関口である仙台駅からJRで20分余りの所にある多賀城駅。その駅前に
市街地再開発事業により整備された建物が複数棟あり、その一角に多賀城市立図書館が
立地している。2016年3月に移転オープンし、それを契機に指定管理者制度が導入され、
佐賀県武雄市、神奈川県海老名市に次いで3館目のTSUTAYA図書館となった。市立
図書館と蔦屋書店で構成され、書店にはスターバックスコーヒー、コンビニ、レストランが
併設、図書館へは1階の蔦屋書店の中を通ってアクセスする。
 図書館内は全体が木質系の内装となっていて、3フロアに分かれている。1階は音楽が
流れ、閲覧スペースの一つとしてソファのある空間は家のリビングのような雰囲気があり、
東京・代官山の蔦屋書店を彷彿とさせる。図書館の奥には児童コーナーがある。2階は
話し声が聞こえる程度でやや静かな空間となり、専門書などが並ぶ。3階は個別の閲覧、
学習スペースで、おしゃべり禁止の無音空間となる。フロアによって”音のゾーニング”が
されている。飲食は、ペットボトル及びフタつき容器(水筒等)に入れた飲み物は一部区画を
除いて閲覧スペースへの持込OKとなっている。内部の様子は、下記に示した多賀城市立
図書館のホームページを参照されたい。
 また、従来の図書館が行ってきた読書通帳と移動図書館の事業も引き継いでいる。
読書通帳は、市民(中でも中学生以下の子ども)の読書活動推進のために中学生以下には
無償で配付され、図書館で本を借りたら記帳できるというもの。移動図書館は、図書館への
アクセスが困難な人達のために市内を巡回して図書館の本を届けようというもの。いずれも
ここの歴史ある取り組みだ。
 図書館の開館時間は午前9時から午後9時30分、年中無休で運営されている。TSUTAYA
図書館については、その誘致の際に住民投票で否決された自治体もあるなど賛否両論
あるだろうが、運営や空間構成の工夫については学ぶべき所があると思う。一度、現場に
出かけてみてはいかがでしょうか。
(浅野健)

→多賀城市立図書館のホームページ
https://tagajo.city-library.jp/library/ja

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○つながる図書館−コミュニティの核をめざす試み−/猪谷千香著○
 筑摩書房/2014年1月10日発行

 本書は、産経新聞の記者、ドワンゴでのニコニコ動画のニュース担当などの経歴を
持つジャーナリストである猪谷千香氏の著書である。猪谷氏は、近年、公民連携による
まちづくりの好事例として度々メディアにも取り上げられる岩手県紫波町のオガール
プロジェクトを題材にして2016年に発刊された「町の未来をこの手でつくる 紫波町
オガールプロジェクト」の著者でもある。そのあとがきの中で、本書「つながる図書館」を
発行したことがきっかけで、全国の公共図書館を取材するようになり、図書館関係者の
中で注目を集めつつあった紫波町を取材するようになったと紹介している。筆者が
公共図書館を題材にするようになったきっかけの図書である。
 そもそも、なぜ猪谷氏が全国の公共図書館を取材しようと思うようになったのかは、
本書のプロローグからその理由がうかがえる。赤ちゃんからお年寄りまで利用者の年齢を
選ばす、職業や収入も選ばず、無料で使える稀有な公的施設であり、自分のまちの
図書館しか知らない方は、ぜひ最前線の他の町の図書館へ出かけて現場を見て下さい。
「人と本をつなぐだけでなく、人と人をつなぎ、コミュニティの中で新たな核を担っている
図書館の姿が見られるはずだ」と。東京近郊の武蔵野プレイス、千代田図書館、飯能
市立図書館から地方の小布施町まちとしょテラソ、鳥取県立図書館、武雄市立図書館、
伊万里市民図書館などはその好例だ。さらに、「新しい公共図書館」として千葉県船橋市の
船橋まるごと図書館プロジェクトや、島根県海士町の島まるごと図書館構想などを紹介
している。他にも幾つかの事例を紹介しているが、それぞれの好事例の特徴については
本書を参照いただきたい。
 私自身も全国の幾つかの図書館に足を運んだことはあるが、「本を貸出・返却・閲覧を
するだけの場所」「静かに過ごさねばならない場所」といった従来のイメージからは確実に
変化してきている感がある。ともすれば公共図書館は「無料の貸本屋」などと揶揄され、
自治体の予算縮減の対象になりうるが、そこに関わる人々が知恵を絞って取り組むことで
市民一人ひとりに知を提供できる場所、さらには人と本、人と人をつなぎ、コミュニティの
核にもなりうる場所にもなることを本書で紹介された好事例が示していると思う。
 自分の町の図書館を見つめ直す良いきっかけになりうる著書だと思う。
(浅野健)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・今回は図書館に関するレポートが2つとなりました。図書館に関する文献を読んだり
 現地を視察したりすると、図書館の様子が昔と随分変わってきていると感じます。
 昔ながらの研究したり学習したりするための施設だけでなく、小さなお子さんや中高生の
 安全な居場所としても最近注目しています。
 (T.A) 

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