現在の位置:TOPスペーシアメールマガジン>365号

WWW を検索 スペーシアサイト を検索

 

スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)    □[第365号]2014/7/8□  □配信数 740□

スペーシア・メールマガジンの第365号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆住まい・まちづくりコラム◆
 ・日本唯一の飛び地の村「北山村」
 ・徒然随筆「料亭建築と文化性03(洲さき)」
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

☆*********************************************************************
◆住まい・まちづくりコラム◆
**********************************************************************☆
○日本唯一の飛び地の村「北山村」○

 先日、社員旅行の一環でラフティング体験を行うため和歌山県北山村を訪れた。
ラフティングとは、8人乗りの専用のゴムボートに乗りこみ、ガイドの指示にあわせて
参加者全員で漕いで急流を下るレジャースポーツである。北山川の急流を下るときの
スリル、参加者の息をあわせて難所を攻略できたときの一体感、緩やかな流れのところ
ではライフジャケットに身を任せて浮かびながら渓谷の自然を眺めたりと、密度の濃い
約2時間のプログラムでおすすめである。
 また、北山村はまちづくりの成功事例として取り上げられており、一度訪れてみたかった
場所でもあった。北山村は、三重県・奈良県・和歌山県の県境の周辺に位置し、和歌山県で
ありながら村全体が接するのが三重県と奈良県であるという飛び地の村であり、村全体が
飛び地になっているのは北山村のみだそうだ。林業が盛んで、筏流しによって木材を
下流の和歌山県新宮市に運んでいたため、明治の廃藩置県の際に和歌山県に加わる
ことを選択したために飛び地になった(平成の大合併の際も、合併協議を進めたが、
村民投票により飛び地の村として生きることを選択したそうだ)。ダムや道路の整備に
より、昭和38年に筏流しは終了したが、昭和54年に観光用筏下りとして復活させ、
大人気の観光スポットとなった(平成10年に筏師の後継者育成事業を開始し、若い
筏師はオフシーズンには村内山林の間伐や後述のじゃばらの収穫や加工など様々な
仕事をしているそうだ)。平成14年にはこの村にしか生育しないとされる柑橘の「じゃばら」
製品が年間売上1億円を超えるヒット商品となった(昭和50年から過疎化対策として
取り組んできたが、赤字を出し続けるお荷物事業だったそうだ)。平成19年には全国初の
地方自治体運営ブログ「村ぶろ」を開始した(初期投資に村の税収の半分をかけ、全国初の
キャッチフレーズを得るために構想から半年でプレオープンさせたそうだ)。
最近では、村民や観光客が買い物難民になるのを防ぐため平成25年に村営のコンビニエン
スストアを開店している。
 北山村の経緯の中でも、括弧書きで記したような、変化や苦難を乗り越えるための
アイデアや努力、日本唯一や全国初への想いなどは、特に興味深く感じた。日程の制約上、
半日程度の滞在しかかなわなかったが、過疎化が進む村といった雰囲気を感じることはなく、
豊かな自然を積極的に活用して観光客を受け入れている観光立村であることが感じられ、
ぜひまた訪れたいと思う。
(山崎 崇)

○北山村 観光サイト
http://kankou.vill.kitayama.wakayama.jp/
○和歌山県総合情報誌「和」による紹介
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/nagomi/web/nagomi04/travel/index.html
○アドベンチャークラブケイズ(ラフティング体験)
http://www.a-keizu.com/

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Topic/column/kitayama/
------------------------------------------------------------------------
○徒然随筆「料亭建築と文化性03(洲さき)」○

 高山市神明町に老舗料亭「洲さき」があります。国の重要伝統的建造物群保存地区(以降
三町伝建地区という)の南端で上三之町の南に位置し、宮川にかかる中橋のたもとにある
歴史的建造物です。旧高山市役所の隣で派手な看板など無く、歴史ある暖簾があるだけ
なのでつい見逃してしまうような歴史的建造物です。
 料亭「洲さき」は創業が寛政六年(1794)、約220年続く料亭で岐阜県では「水琴亭」、
「千歳楼」、「長多喜」に並び称される老舗料亭です。洲さきの特徴は宗和流本膳料理で、
高山市城下町を創った金森長近の孫で宗和流茶道創始者である金森宗和ゆかりの料理です。
内容はホームページに譲りますが、洲さき御用達の食材(酒、魚、野菜など)と料理人の腕に
よる本格的な日本料理です。
 建築及び文化財的視点から見ると、玄関(外ドジという)、土間(内ドジという)を通ると創建
1794年の主屋になっています。ここには1年中火を絶やさない囲炉裏があり、来客を出迎えて
くれます。更に奥に入ると、1階は数奇屋風個室の「松の間」「川の間」「雪の間」が、2階は
書院風大広間で「一の間」から「七の間」まであり、襖や稼動壁で仕切れば7室に、全てを
撤去すると75畳の大広間になります。「一の間」は皇室も利用し、司馬遼太郎など文化人の
利用もあり「街道を行く」など種々の書籍や雑誌に掲載されています。平成22年度に建物調査を
行い、棟札、使用木材、寸法等詳細に調査しました。
 洲さきのハード面での価値に加え、ソフト面での価値は特筆すべきものがあります。まず
2月に行われる「節分会」、秋に行う「観月会」といった催事、食事時の作法で「目出た唄」まで
席を立たない決まり事、1年365日欠かさず朝からスタッフ全員で行う掃除(女将も主人も行う)、
和服によるおもてなしと流麗な配膳等、見えなくなるまで見送ること等、枚挙に暇がありません。
 洲さきのある三町伝建地区は上一之町から上三之町までの地区で、江戸時代後期から
明治後期までの建造物が多く、高さの揃った町並み景観が残されています。この町並みは
行政の支援もさることながら、住民の自主規制がありコミュニティが持続している稀少な町です。
洲さきの暖簾は、洲さきとしか記されていないので奥ゆかしいですが、思わず見とれてしまう
ような風情があり、長く保存されてほしい建物です。
(嘱託研究員・田中清之)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Topic/column/tsurezure/11ryouteikenchiku/

☆**********************************************************************
◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
**********************************************************************☆
(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

☆**********************************************************************
◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
**********************************************************************☆
・新卒の方、実務経験ありの方(30才まで)を対象に、研究員を随時募集します。
 やる気のある方の問合せをお待ちしております。
 http://www.spacia.co.jp/rec.html

#######################################################################
◎ホームページでは一方的な情報提供に終わってしまいますが、このメールマガジン
  を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
  ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
  載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
◎バックナンバーはホームページに公開しています。
   http://www.spacia.co.jp/mm/
◎今後の配信を希望されない場合は、このまま返信して下さい。
-----------------------------------------------------------------------
(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
  〒460-0008 名古屋市中区栄5-1-32 久屋ワイエスビル8階
   TEL 052-242-3262 FAX 052-242-3261
   URL http://www.spacia.co.jp/
#######################################################################