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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)   □[第327号]2013/1/22□  □配信数 810□

スペーシア・メールマガジンの第327号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
  ◆住まい・まちづくりコラム◆
  ・施設のバリアフリー情報の発信に向けて その2
  ◆図書紹介◆
  ・地域生態学からのまちづくり 共生環境のマネジメント/上甫木昭春 著
   学芸出版社/2009.9発行
  ◆読者の声◆
  ◆スペーシアのこの頃◆

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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○施設のバリアフリー情報の発信に向けて その2○

 県内観光施設等のバリアフリー情報をまとめ、ホームページを立ち上げて発信して行く
ことに今年度取り組み、車いすユーザー等の障害当事者と計測者が県内の観光施設に
出向いて調査した中から、歴史的な街並み(犬山城下町)と農業公園(東谷山フルーツ
パーク)の2事例を昨年、このメールマガジンで紹介した。今回はその続きで、観光施設と
商店街の事例を紹介する。

観光施設の例−有松・鳴海絞会館
  伝統工芸の有松絞と旧東海道の街並みで知られる有松地区(名古屋市緑区)の拠点
施設である。1階は主に有松・鳴海絞の売店、2階は資料展示室と有松・鳴海絞りの実演が
行われる。有松絞を学ぶためには2階にあがらなければならないが、エレベーターが
設置されていない。そのため、調査した日には、電動車いすユーザーもいたが、同行した
スタッフが協力して車いすごと持ち上げて対応した。
  周辺に目を向けると、最寄りの名鉄有松駅にエレベーターが設置され、会館が立地する
旧東海道も街路事業により無電中化と舗装整備が行われ、交通規制の面で一方通行と
なったこともあり、車いすユーザーでも随分回遊しやすくなるなど歩行環境が整い、
以前よりも平日の昼間の来訪客が多くなっているように感じた。こうしたことから、拠点施設の
絞会館についても早期のバリアフリー化が望まれる。
 
商店街の例−円頓寺商店街
  名古屋市内有数の商店街の一つ。高層化が進む名古屋駅から1km程度の位置にあり
ながら、昔ながらのアーケードが東西に連なり、“昭和”の雰囲気漂う場所である。店の
つくりも昔ながらの様相であるため、通路が狭いとか棚が高いといった店もあるが、通り
から店内へは段差なく入れる店も多く、介助者など同行する人がいれば買物を楽しめる。
商店街や周辺の地形は平坦であり、何よりアーケードはどの天候でも安心して通行できる
ため、歩行者にとってはありがたい。
  最近この界隈に増えている来訪者の立場を考えると、トイレの確保が課題である。今は
1箇所だけ、商店街に立地する高齢者介護施設が最近食堂を開設し、その中に障害者対応
トイレが設置され、一般の来訪者の利用も認めている。今後、既存の障害者対応トイレの
活用(例えば学区のコミュニティセンター内にあり)や新設によって増えていくと、来訪者も
安心して回遊できるようになる。さらに、既存のマップに「トイレの情報」も付加されるとなおよい。

 施設に出かけたいというニーズは、加齢によって身体機能が低下した高齢者の方や
障害者の方などに限定されているのではなく、介助が必要な人と一緒に旅行に出かけたい
家族の方なども考えられる。今後高齢化のさらなる進展により、こうしたニーズがますます
高まると予想される。観光施設等のバリアフリー情報を発信していくことで、他の施設との
差別化を図ることができると考えられる。
(浅野健)

→ホームページに写真を掲載しています。
http://spacia.co.jp/Topic/column/kankobf2/

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○地域生態学からのまちづくり 共生環境のマネジメント/上甫木昭春 著○
  学芸出版社/2009.9発行

 環境への関心が高まる中、都市をデザインする上で、緑地の回復や保全、創出は大きな
テーマとなっている。都市計画分野では、「緑地」や「みどり」とひと括りで表現されることが
多いが、その中身は実に多様である。

 本書は、緑地環境のあり方やプランニングを地域生態学という観点から実例をもとに
優しく解説しれくれる。地域生態学というと、動植物などの生物分野の話かと思われるが、
それだけでなく、「地域環境を構成している様々な要素」、つまり地形や植生などの自然、
建築物や都市などの人工、歴史や風俗などの歴史的要素など、あらゆる視点を指して
いるのである。

 例えば、住宅開発の中で樹林地を保全する場合、生物多様性の大小、人による利用の
大小(レクリエーションで使うのか外から鑑賞するだけなのか)などによって、樹林を構成する
樹木の種類や粗密、規模などは当然異なり、保全の仕方も変わってくる。
  都市域で生き物に配慮した屋上・壁面緑化を進めようとする場合、例えば、アゲハを
誘引しようとするには、地上に高木並木があり、そこから連結する視認性の高い壁面緑化、
さらに屋上に産卵しやすい緑被環境があることが重要だという。アゲハの行動特性を分析
するとこのようなことがわかるのである。
  神社林などの歴史的緑の場合、古地図や絵図などの資料をもとに過去からの変容を把握し、
同時に地域の暮らしや風習などとの関わりも探ることで、神社林でもそれぞれ担う役割も
緑のタイプも異なり、保全の方向性も当然変わってくることがわかる。

 このように、本書では、具体的な事例を著者が実際に調査した結果をあわせて、いくつも
挙げ、緑地を考える視点・手法を様々に提供してくれる。都市デザインにとって、地域生態学は
必要な分野のひとつといえる。興味ある方は本書を入門に学んでみてはどうだろうか。
(櫻井高志)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・例年のこの頃には必ず一度は積雪する日があると思うのですが、今冬は名古屋周辺で
  積雪をまだ経験していません。関東で先日大雪に見舞われましたのを見て気づきました。
  寒さについては、自転車通勤をする中で肌を刺すような寒い日が昨年より多い気が
  しています。寒さと積雪は必ずしも比例しないようです。(T.A)

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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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