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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第308号]2012/4/23□   □配信数800□

スペーシア・メールマガジンの第308号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆住まい・まちづくりコラム◆
 ・緑をネットワークすること
 ・徒然随筆「都市計画における風水」
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○緑をネットワークすること○

 名古屋市の最新の緑被率は、平成22年23.3%。平成2年からの20年間、一貫して減り
続けています。緑の減少を食い止め、増やすことは当然大きな課題ですが、しかし、
単に緑を増やせばいいのかというと、そうではなく2010年のCOP10以降は生物多様性への
配慮が重視され、生き物との共生を目指した緑が必要となっています。そのために多くの
街で掲げられているのが、「水と緑のネットワーク」や「水と緑の回廊づくり」といった
方法です。名古屋市でも緑の基本計画のリーディングプロジェクトとして挙げられています。
 また昨年には都市緑地法運用指針が改正されましたが、そこでも生物多様性保全と
そのためにエコロジカルネットワーク形成の必要性が追加されるとともに、その具体的な
指針として「緑の基本計画における生物多様性の確保に関する技術的配慮事項」が
参考資料として作成されました。内容を非常に簡単にいうと、緑地(エコロジカルネットワーク)
形成のあり方として、「中核地区」「拠点地区」という生き物が生息できる大きな緑のまとまりを
つくり、それらを生き物が移動できる「回廊地区」で結ぶとともに、外部からの影響を減らす
ために全体を「緩衝地区」でカバーしましょうというものです。
 しかし、このネットワークをどのような緑でつくるのか、具体的な計画に落とそうとするのは
意外に困難なのです。理由は、生き物といっても多種多様であり、種類によって好む環境が
異なるからです。例えば、鳥類や哺乳類、昆虫類では移動できる距離が違うため、
ネットワークの間隔も違ってきます。また鳥類でも高木街路樹の並木だけでもネットワーク
できるものから、逆に低木や地面の緑もつながっていないとネットワークできないものも
います。その他にも生き物ごとに細かく見ていくと、どういう緑で結ぶかは非常に複雑な
ことがわかります。「中核地区」や「拠点」には当然数多くの種類がいるわけであり、それらを
包括した視点からの緑のネットワークを構築するのが理想なのですが、その手法はいまだ
研究途上にあります。しかし、愛知目標のミッション(短期目標)では2020年までに「生物
多様性の損失を止めるために、効果的かつ緊急な行動を実施する」となっており、まったなしの
状態であるため、できるところから試行錯誤でもこの緑のネットワークづくりを進めていかなくては
ならないのです。
(櫻井高志)
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○徒然随筆「都市計画における風水」○

 風水という古代中国からの考え方があります。日本における家相(鬼門、裏鬼門など)や
暦などの吉凶占いとは異なり、もともとは地相をみるものであります。必ずしも建造物等の
吉凶をみない訳ではありませんが、風水の原点は「気」の流れなので、「気」をみる様ならば
風水といえるかもしれません。
 風水とは何かということを、簡単に説明していきます。まず、風水には「龍(りゅう)」「穴(けつ)」
「砂(さ)」「水(すい)」という四つの考え方があります。「龍」とは、山や山脈のことで、山の
起伏や高低を龍に見立てて大地の生気の流れを表し、高地から低地へ流れていく地形を
良とします。「穴」とは、龍地である山や山脈から流れてくる生気を聚集する地点をいいます。
「砂」とは、穴地の周りの山や丘、凸地のことをいい、左辺にあると青龍、右辺を白虎、前面を
朱雀、後面を玄武といいます。
「水」とは、穴地付近にある川、湖、池、海などの水気をいい、龍地の生気をとどめる場所です。
この水地の周りに開けた場所があれば「明堂」と呼び、土地の吉凶がわかってきます。この
四つの観点から、土地の形勢を概観して風水上の吉凶をみて、よい土地であるのか判断
するのです。風水上の適地であるといわれている都市とは、中国では長安(現在の西安)や
成都(四川省)、韓国ではソウル、日本では京都や奈良などがあげられます。では一体何を
持って風水の適地といえるのか、わかりやすいので京都で例えると、大きく北から東山に
流れる龍地、穴地や明堂である朱雀大路と御所、東の鴨川と西の桂川が合流して西南へ
流れて水地を形成しており、自然に形成された風水上は吉相の土地であるといえます。

 このような風水の考え方を都市計画に適用することは極めて重要で、京都や長安が
都として長命であったことからも証明できます。歴代政権(幕府)でも、徳川幕府の江戸
形成において天海僧正が風水を取り入れています。西より富士山の気を引込んで龍地とし、
神田川や隅田川の流れを替えて江戸城周りの堀を「の」の字に築造して水地とし、神田山を
崩して日比谷入江を埋立て江戸城前面は明堂とし、仕上げに上野寛永寺を北西に造立
しています。また私見ではありますが最近の例でいうと、韓国ソウルの景福宮前面にあった
旧朝鮮総督府を解体してから、韓国の国力上昇には目を見張るものがあります。GDPの
上昇と空運や海運の集中策等による経済力と観光力の上昇、国連事務総長を輩出し、
芸能人やスポーツ選手の世界進出が顕著なのは風水の影響でしょう。
 都市全体と都市周辺を概観して、龍地である周囲の山、水地である川、穴地や明堂である
中心市街地を形成していることがわかれば、風水も楽しくなってきます。更に考えれば、
龍地からくる大地の気を流し、水地にとどめることも都市計画には重要で、気をよく流す
ために道路・公園・河川を風水思想によって整備することが望ましいと考えます。また、
高低があり不揃いな建造物による調和のない街並みは大地の気の流れが悪くなって
都市の発展を妨げ、気を流し、気をとどめるために都市計画や都市景観が影響するものと
筆者は考えています。そのためにも都市における土地利用計画は重要で、類似用途の
建造物等が、調和と規律を持って都市を形成することが大切になってきます。
(嘱託研究員・田中清之)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・先日、愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会の視察会で、三河湾に浮かぶ
 佐久島の視察に行きました。市職員の方の案内、地元のまちづくりの方のお話し、
 島ならではの昼食もあり、朝から夕方まで島を満喫しました。
 佐久島では現在、アート、弘法巡り(島内の例場巡り)と2種類のスタンプラリーが
 開催中です。

・発行が遅くなってしまいました。申し訳ありません。

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 を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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