スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)    □[第287号]2011/7/4□    □配信数 772□
                 
                
        スペーシア・メールマガジンの第287号をお送りします。
          名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
        今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
        <内容・目次>
           
          ◆視察レポート◆
           
          ・多摩美術大学図書館〜見学レポート〜
           
          ◆図書紹介◆
           
          ・「まちづくりびと−再開発合意ものがたり−」
           
          ◆読者の声◆
           
          ◆スペーシアのこの頃◆
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          ◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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          ○多摩美術大学図書館〜見学レポート〜○
         私の母校、多摩美術大学の図書館棟を見学しました。設計は世界的建築家の伊藤豊雄氏
          です。特徴はまず、その構造です。バウンドするボールの軌跡のようなアーチ型の壁の
          連続で建物のすべてが作られています。これは鉄板をコンクリートで挟み込むという特殊な
          構造で、わずか20cmの壁だけで大きな空間を支えることが可能になりました。その極限まで
          切り詰められた構造の美しさ見せるため、可能な限り設備を見えなくしています。現代の
          建築は、消防設備や照明、空調設備無しでは作ることができませんので、それらを意識
          させない建築というは、実はとても練り込まれた設計をしないと実現できません。この建物の
          すばらしさは構造体と家具という建築の究極の要素のみで独創的な空間を創造している点が
          上げられます。
           
          もう一つの特徴は、1階の床が周辺の地形と同じ傾斜が付いた床になっていることです。
          この図書館のコンセプトに「ブラウジング」というキーワードがあります。「ブラウジング」とは
          「さまざまなリソースを所蔵する図書館を歩き回ることによって、予期せぬ資料に出くわすことも
          意味する。それはさまざまな情報にあふれた町を歩き回る経験に共通している。」とあり、
          1階を道路や広場の延長ととらえているため、あえて周辺の傾斜と段差なく連続させています。
          使いにくい場面もあるようですが、既成概念にとらわれない空間は学生たちに大きな可能性を
          示唆することでしょう。
           
          伊東豊雄氏は、岐阜大学跡地の図書館等複合施設の設計コンペで、安藤忠雄氏や
          妹島和世氏らをおさえ設計者に選ばれました。インターネットの普及とともに、従来の図書館
          としての存在意義は時代遅れとなりつつありますが、人は空間体験によって得られる刺激に
          より、知識欲をかきたてられることもあります。そこに行くことで新たに何かをしたくなるような
          空間を期待し、完成を楽しみに待っています。
          (堀内 研自)
        →ホームページに写真を掲載しています。
          http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2011/tamabi/index.html
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          ◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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          ○「まちづくりびと−再開発合意ものがたり−」○
           
          日刊建設通信新聞社/2011年5月31日刊
         先日、自ら賃貸ビルを建設し不動産経営を行っている、ある再開発地区のリーダーから
          「再開発はなぜこれほど時間がかかるのか、もっと素早く事が決められないのか、
          コンサルタントの対応が悪いのではないか」との相談を受けた。一人で住宅やビルを建てる
          ときは、自分一人で判断し、その善し悪しの結果責任も自分が負うことになる。しかし、
          地域の多様な人々と共同してまちをつるときは、関係者(権利者や床を購入する事業者
          など)の異なる状況や意向を調整し、誰も損失を受けないように権利者の合意を一歩一歩
          取り付けていくことが、リーダーやコンサルタントに求められる。そのため、再開発は一朝一夕に
          できるものではなく、権利者との信頼構築を含め、時間が必要なことが多いと説明した。
           
          本書「まちづくりびと」は、コンサルタント会社や建設会社の所属する7人の再開発コーディネーター
          (発行時点の平均年齢64歳)が再開発の現場で権利者の合意形成に奮闘してきた体験を、
          失敗談を含め、まちづくり初動期から完成に至るまでの段階をおって『人間ドラマ』として
          オムニバスで紹介している。権利者対応での悪戦苦闘話は、コンサルタント仲間同士では
          よく話題になるが、再開発のリアルな現場を「読み物」として著したものは初めてであろう。
          単なる権利者交渉のハウツー本ではなく、再開発を分かりやすく解説するとともに、合意形成の
          重要さ、そのための人と人との信頼関係構築に必要なコミュニケーションの重要さを問うている。
           
          まちづくりでは、地域の人々の長い付き合いの中で人間関係をこじらせ、リーダー不信を
          招いていることも多い。また、若いコンサルタントの中には便利なツールに頼りすぎ「face-to-face」の
          コミュニケーションをおろそかにする者もいる。まちづくりにおける合意形成の重要さや人と人との
          関わり・応答からうまれる大きな成果、楽しさを知ってもらうため、まちづくり関係者に読んで
          欲しい一冊である。
          (浅野泰樹)
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          ◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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          (みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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          ◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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          ・4月に入って、携帯電話をスマートフォンに切り替えました。少しずつ操作に慣れ、
           
          FacebookやTwitterといったコミュニケーションツールの利用をようやく始めました。
           
          スマートフォンを使うとコメントや写真のアップロードが手軽にできるので、まちづくりの
           
          現場でも使えるのではないかと可能性を感じています。(T.A)
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          ◎ホームページでは一方的な情報提供に終わってしまいますが、このメールマガジン
           
          を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
           
          ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
           
          載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
          ◎バックナンバーはホームページに公開しています。
            
          http://www.spacia.co.jp/mm/
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          (株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
           
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