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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第232号]2009/5/25□ □配信数752□


スペーシア・メールマガジンの第232号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
  ◆名古屋まちづくり情報◆
   ・豊川稲荷門前町のまちづくり
  ◆図書紹介◆
   ・モビリティ・マネジメント入門
  ◆読者の声◆ 
  ◆スペーシアのこの頃◆

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◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○ 豊川稲荷門前町のまちづくり ○

  先日、建築学会東海支部都市計画委員会主催の春の交流会に参加し、豊川稲荷と門前町
を訪問した。

  名鉄豊川稲荷駅・JR豊川駅前から豊川稲荷にかけて東西に表参道が貫き、表参道には飲食
店や土産屋などの商店が軒を連ねている。どこか懐かしい雰囲気が残るこの商店街では、現在、
住民主導のまちづくりが活発に進められている。

  表参道のある豊川地区は、豊川稲荷の門前町として栄えてきたが、近年は参拝客が減
り、表参道の活気も徐々に低下していた。そこで、豊川市では都市計画道路の景観整備
事業など、ハード整備(表参道の道路拡幅など)を中心としたまちづくりが計画されていたが、
ハード先行のまちづくりや商店街の意欲不足などもあり、なかなか事業が進まなかった。
そうした中、商店街の若手店主による意見から「できることから始めるまちづくり」を合言葉に、
門前町という空間、今ある表参道を活用し、お金をかけずに住民主導によるまちづくりを進めることに
なった。平成14年に商店街の若手店主を中心とした「いなり楽市実行委員会」が発足し、以後、
様々な活動が展開されている。その中でも代表的な活動が「いなり楽市」である。基本コンセプト
は「ちょっと懐かしいレトロな異空間」。自由市、ちんどんや行列、フリーマーケット、地域の住民
や学生によるストリートパフォーマンスなどのイベントが月に一度(3月〜11月の第4日曜
日)開催されている。毎回約2万人の来街者が集まっているそうだ。また、平成19年に
は、商業者や市民らが出資して、まちづくり会社「株式会社豊川まちづくりそわか」が
設立され、まちづくりの拠点「いっぷく亭」も開設された。「いっぷく亭」には、休憩スペースや
ギャラリーがあり、文化教室や地区オリジナル商品の開発・販売も行われている。また、
「いっぷく亭」の奥には豊橋技術科学大学松島史朗准教授の研究室(サテライト・ラボ)
も開設されており、地域に密着した調査・研究が行われている。 平成18・19年度に
社会実験として実施された商店の改修工事では、研究室の学生による実測や外観のアイ
デア提供などが行われた。平成20年度からは市による景観助成も開始されている。研究機関が
加わることで景観整備が進み、結果的にはハード整備も少しずつ進んでいる。

  できることから始めた結果、今では2万人もの人々を呼び込むイベントが恒例行事と
なり、景観整備基準も住民主導で制定されるまでになった。ここまで来るのには相当な
ご苦労があったと思うが、まちづくりの主体である商店街の方々、サポートする市職員の
方々が楽しみながらまちづくりを実践している姿が非常に印象的であった。次の機会に
は「いなり楽市」を訪ねてみたい。(喜田 祥子)

  →ホームページに写真を掲載しています。
   http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/2009/toyokawa/index.html

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−  
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○ モビリティ・マネジメント入門  −「人と社会」を中心に据えた新しい交通戦略−○

  過度に自動車に依存した交通体系を改めることは、環境政策、都市政策、福祉政策など
様々な側面で重要な課題となっている。 そのための方策として、様々なハード施策(LRT
の整備など)やソフト施策(自動車の乗り入れ規制など)があげられるが、実施は容易
ではない。財政問題のみならず、自動車利用が当たり前になっている人々にこうした
施策の賛同を得ることは難しい。 しかし、人々の意識や行動が少しずつ変わっていけば
自動車への依存状況を改善し、自動車からの転換(モーダル・シフト)が可能となる。

  モビリティ・マネジメントとは、 一人ひとりのモビリティ(移動)が、社会的にも個人的にも
望ましい方向に自発的に変化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通政策
のことである。本書では2000年前半以降、我が国においても様々な施策展開が行わ
れるようになったモビリティ・マネンジメントの事例を、まず海外での先進的な事例を
紹介した上で、我が国における様々なタイプの取組みの代表的事例を紹介している。
特徴のある代表的事例をとりあげ、わかりやすく解説しているので、交通計画に詳しく
ないものでも理解しやすい。

  「コミュニケーションによって、人々の意識や行動が実際に変わり得るのか?」
  日本に新しいタイプの交通政策の考え方が知られるようになった当初は、この点を明
らかにするための実験的取組みが中心だったという。海外事例のような大規模な展
開は、予算の制約から難しく、その中で「コミュニケーションアンケート」や「ワンショット
TFP」など日本固有のコミュニケーション手法が開発された。費用対効果の高い施策
の開発が促進されたこともあって、近年、急激に実施件数が増加しているという。

  アンケートに答えてもらうことを通じて、参加者の意識と行動の変容を期待するという
コミュニケーションアンケートという手法は、交通問題に限らずまちづくりの様々な側面
でも活用ができそうだ。様々な分野で「マネジメント」の重要性が高まっている中で、
交通分野における新しい取組みに注目していきたい。 (石田富男)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします) 

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・名古屋プライムセントラルタワーの1階に5/23にオープンした「ナゴノスペース」が新聞記事
  にとりあげられました。「西区の職人技常設展示」(中日新聞5/21) 「『ものづくり文化の
  道』の拠点に」(読売新聞5/24)

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  し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できればと考えてい
  ます。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲載させていただきま
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(株)都市研究所スペーシア 編集:石田
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