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 ◆  ■   ■  ■  ■  ■ ■  ■  □[第178号]2007/4/30
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 スペーシア・メールマガジンの第178号をお送りします。
  名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
 
<内容・目次>
  ◆名古屋まちづくり情報◆
   ・松阪市の景観まちづくりの取り組み
  ◆図書紹介◆
   ・都市美―都市景観施策の源流とその展開 
  ◆読者の声◆  
  ◆スペーシアのこの頃◆

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  ◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○ 松阪市の景観まちづくりの取り組み○

  日本建築学会東海支部都市計画委員会の春の恒例の見学会で松阪市を訪問した。
松阪市は松阪城を中心とした近世城下町として発展した歴史都市であるが、この城に近接
する殿町に、地上7階建て(高さ26m)のマンション建設計画が突然持ち上がり、それに
端を発して景観まちづくりに対する取り組みが急激に広がったという。その経緯について
話を伺うとともに現地を見学する企画である。

  マンション問題についてjは、自治会が中心となり、歴史的景観や観光が損なわれると
して、2万人の反対署名を集めるなどの活動が展開されたが、最終的には、6階建て(高さ
22m)に変更されることで建築された。これを教訓として、今後このような事例を出さな
いようにするため、2005.10に地区計画推進委員会が立ち上げられ、毎週のように話し合
いを続け、3ヶ月で原案をまとめ、市長に要望書を提出。2006.10には高さ12m(一部10
m)や敷地面積の最低限度などを定めた地区計画が決定された。
  わずか1年間で40.5haという広い範囲で高さ12mという厳しい地区計画が合意されたこ
とに驚くが、その背景にNHKの「ご近所の底力」にこの問題が取り上げられたことで住民
の意識が高まったことがあげられるという。対象地区も当初の2地区から6地区にまで広
がった。

  この問題と同じ時期に、もう1つ松阪の景観に絡む問題が発生した。御城番屋敷の二階
建て家屋問題である。松阪といえば城から眺める御城番屋敷の眺望が定番の風景である
が、そこに2階建ての住宅が増築されたことによって、その眺望が失われてしまったので
ある。庁内関係各課との協議の結果、そこをポケットパークとして買収・整備されたが、
たとえ二階建てであったとしても場所によってはそれが大きな問題になるという典型事例
といえる。

  これらを通じて松阪市では景観に対する意識が高まり、景観マスタープランのとりまと
めが昨年度行われ、2008年度には景観計画の運用を開始すべく取り組みが進められてい
る。また、殿町の地区計画に隣接する魚町でも歴史的な景観を活かしたまちづくりの取り
組みが進められている。まちを歩くと美しい生け垣の道が印象的である。まちの魅力を住
民がしっかり認識し、それをみんなで守っていこうとしていることが伺える。さらなる広
がりを期待したい。 (石田富男)
 
→ホームページに写真を掲載しています。
  http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/matusaka/

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  ◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−   
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○都市美―都市景観施策の源流とその展開/西村幸夫/編著 宮脇勝/[ほか著] ○

  本書は、『都市の風景計画―欧米の景観コントロール 手法と実際』(2000年)および
『日本の風景計画―都市の景観コントロール 到達点と将来展望』(2003年)に続くもの
として出版された。先に出版された2冊が、欧米、国内における景観コントロール手法の
事例の紹介を中心的な内容としているのに対し、本書はそこからさらに踏み込み、どのよ
うな社会背景や理念にもとづいて景観コントロールが行われてきたのかという歴史的経緯
を記述している。取り上げられている都市は、イタリア、フランス、ドイツ、イギリス、
ベルギー、スペイン、アメリカ、日本の8カ国である。

  それぞれの国の社会背景の変化に伴って、望ましいと考える景観のあり方やコントロー
ル手法も変化してきている。例えば、シカゴにおける建物高さ制限の変遷の経緯などは興
味深い。高層建築が都市環境に与える悪影響への懸念、土地所有者やデベロッパーの思
惑、景気の動向、中心部への一極集中を是正したい周辺地区の思惑など、様々な要因が影
響して、高さ制限が130フィート(約39m)から260フィート(約79m)の間で頻繁に変更
され、スカイラインの揃った都市景観の形成には至らなかった。これについて本書では
「摩天楼都市シカゴで高さ規制が、(中略)土地の市場性とのかねあいの中で実現してき
た歴史を見ると、『都市美』を市場の言葉で語る必要性を痛感する。」と記述している
が、日本においても意識しておかなければいけない点であろう。

  わが国でも景観法の制定後、風景・景観に対する関心が高まっているのが感じられる。
先進的に試行錯誤を重ねてきた諸外国に学びながらも、自分の国に合ったコントロール手
法を開発していかなければいけない。(伊藤彩子)

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  ◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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  (みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします) 

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  ◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・ホームページのリニューアル作業を進めていしたが、ようやくアップできそうなところ
  まできました。これまでのフレーム形式をスタイルシートに改めました。いつのまにか
  膨大なページ数になってしまったので、すべてをチェックしてちゃんとした形に整理
  できるまでには、まだ時間がかかると思いますが、よろしくお願いします。
  とりあえず、次回、メルマガ発行までには、ある程度のものをアップしたいと思います。

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◎ホームページでは一方的な情報提供に終わってしまいますが、このメールマガジン
  を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成
  できればと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガ
  ジンに掲載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
◎バックナンバーはホームページに公開しています。
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(株)都市研究所スペーシア  編集:石田
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