愛知県は山車まつりが多い。何台もの山車がだされる祭りもあり、山車の数は相当数にのぼる。当然、山車を保存する山車蔵の数も多い。山車まつりを見ることができるのは年に数日のみだが、山車蔵はいつでも見ることができ、山車蔵があることによって山車まつりのあるまちであることがわかる。山車蔵を見て回れるようなものとすることでまちの活性化につなげていけないかという発想がでてくるのは当然なのかもしれない。
そのような見せる山車蔵の事例として最近見学することのできた3つを紹介したい。
まずは埼玉県川越市。歴史のあるまちとして観光客も多い。その拠点の1つである小江戸蔵里の一角にある山車蔵の側面には小窓がついており、中に保管されている山車を見学できるようになっている。夜はライトアップもされ、まちの賑わいづくりに貢献している。なお、川越では他にも4つの山車蔵において側面や背面に小窓が設けられている。
福井県坂井市三国では17の山車蔵のうち6つは扉の一部がガラスとなっており、正面から山車蔵の中をみることができる。三国祭では毎年、新しく人形が作られる。人形師が作成し、祭りが終わると壊すのが伝統だったが、人形師が1人になってしまい、町内会で自主制作するところが生まれ、その人形については壊すのはもったいないと展示するようにしたという。山車蔵のデザインも統一感があり、山車蔵をみてまわろうという気にもなる。
群馬県高崎市には38台もの山車があり、地区をわけて隔年で巡行する。あら町の山車蔵は高崎のシンボルロード沿いに移転新築する際に、地元住民が展示式山車蔵にしたいと先進事例を視察し、シャッターの内側にガラス扉を設け、シャッターをあげればガラス越に中の山車を見ることができる山車蔵としたという。まつりにむけ隣の集会所でお囃子を練習する際(月〜土、夜2時間)にはシャッターを開ける。元旦の駅伝やだるまマーチというウォークイベントの際にもシャッターを開けてみてもらうという。
いろいろ話を伺うと常時山車蔵の内部をみることができるようにするにはいろいろ課題があるようだが、山車蔵を活かすことによって、そのまちの個性が浮き彫りになってくるのは間違いない。愛知でも山車蔵の有効活用が広がることを期待したい。
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新宮町一丁目の山車蔵(川越市) |
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松ヶ下区山車蔵(三国) |
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岩崎区山車蔵(三国) |
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あら町山車蔵(高崎市) |
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