ユネスコの無形文化遺産に提案されている「山・鉾・屋台行事」の33件には愛知県内の祭りが5件含まれている。これら以外にも愛知県内には山車まつりが多い。ユネスコ候補になっているものとそうでないものは何か違うのだろうか、そんな思いもあって県内各地で行われている山車祭りにでかけてみた。
ユネスコ候補は国指定重要無形民俗文化財であり、それが大きな違いといえるが、いくつかみてみると祭りごとに個性があり興味深い。
蟹江町の須成祭。津島天王祭と同じ車楽船行事でユネスコ候補だが、船は1艘のみ。津島天王祭のような雄大な風景を期待していると肩透かしをくったように感じてしまうが、多彩な行事が3カ月にわたって続くと聞くと伝統の重みというものを感じる。必ずしも雄大で著名なものだけがユネスコ候補になっているというわけではないのだ。
山車と巻藁船の競演が見られるのが大野祭り(常滑市)。大野橋の上に3輌の山車が集まり、そこに巻藁船がやってきて提灯回しをはじめる。広くはない川なので空間の広がりには欠けるが、興味深い組み合わせだ。
からくり人形が披露される祭りが多いが、神明宮大祭(岡崎市)では山車の前に舞台が造れるようになっており、まちなか巡行の途中でこども達が舞を披露する。CDでの音楽やマイクが必要となり、発電気を山車に載せている。提灯のあかりも電気だ。時代とともにやりやすい方向に変わってきたのだろう。車輪をタイヤに変えていた山車もあった。伝統という点からみると違和感があるが、住民の負担を軽減することで祭りが継続されるのであれば、それはそれでよいことかもしれない。
そういう意味で若者の弾けっぷりが半端ではなかった神明社・常石神社例祭(常滑市)は祭りの新しい姿をみた気がした。女性や派手な髪形の若者や目立つ。みんな次の日は声がでないだろう。1年に1回、若者のエネルギーを爆発させる。そんな場があるとまちのみんな元気になるのではないかと思うのだが、まだ確かめることはできていない。祭りがまちにどんな影響を与えるかということにも注目していきたい。
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須成祭宵祭(蟹江町)
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須成祭朝祭(蟹江町) |
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津島天王祭朝祭(津島市) |
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大野祭り(常滑市) |
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神明宮例祭(岡崎市) |
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神明社・常石神社例祭(常滑市)
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