「着物で街歩き」といった取組みが歴史的町並みの残る地区でよく行われている。歴史的景観と着物がよくマッチし、参加する人もその姿をみる人も心地よい感じがするからだろう。
街歩きのみならず、文化財建造物とそこにマッチした文化的体験を組み合わせ、文化財の魅力を知るとともに楽しんでもらおうというのが「着物de文化財」である。愛知登文会の新規事業として実施したもので、文化財の活用を推進にむけたビジネスモデルを検討するためのモニターツアーという位置づけである。
半田市の小栗家住宅を会場とし、外国人をモニターとして、@着物体験(女性のみ)、A文化財に対するレクチャー(英語、日本語)、B習字体験(名前の記帳)、Cお茶体験、D写真撮影を実施した。@Dは着物レンタルと写真撮影を行う事業者が担当し、ABCは所有者が講師となった。
参加者にとっては、どれもが初めての体験だったようで満足度が高く、楽しんでいる様子がうかがえた。撮影写真では習字体験の写真が好評であり、真剣な眼差しで記帳している写真はよい記念となったようだ。参加費はいくらぐらいが適当かという問いかけには「3,000円程度」という回答が最も多く、一定の費用負担をしてもこのような体験をしたいというニーズはあるといえよう。
しかし、ビジネスモデルとしては今回の実施経費を3,000円という参加費だけで回収することはできない。着付けには時間もかかり、多くの参加者を受け入れることができないという課題もある。一方、着物のレンタルを行っている事業者にとっては、着物レンタルの機会が増えることは望ましく、PR効果があることを考えると赤字がでなければよいという考え方もできる。民間事業者が取り組みたいと思えるようなモデルの構築の検討が必要だと感じた。
|