6月上旬、社員旅行にて岐阜県下呂市と中津川市を訪れた。その中で特に印象に残った3か所をご紹介する。当市へお出かけの際に、参考にしていただけたらと思う。
■巌立峡(がんだてきょう)
御嶽山の麓に位置する下呂市小坂町には200以上もの滝がある。その多くは御嶽山の噴火による溶岩によってつくられており、個性豊かな滝群が一帯に点在する。中でも巌立峡と呼ばれる渓谷一帯は、滝見遊歩道や大型バスも駐車可能な駐車場が整備されており、観光にちょうど良い環境である。巌立峡入口に佇む岩壁は、渓谷の名前の由来となった巌立(がんだて)であり、高さ約72m、幅約120mの巨岩である。およそ54,000年前の御嶽山の噴火により噴出した溶岩が兵衛谷の渓谷に沿って流下し、冷やされ固まったもので、柱状節理(規則性のある柱状の割れ目)が形成されている。昭和33年に岐阜県指定天然記念物に指定されたほか、平成19年に御嶽山とともに日本地質百選に選定された。
200以上ある小坂町の滝に対して、NPO法人飛騨小坂200滝は14の滝めぐりコースを設定しており、ガイド同伴の探索を基本としている。巌立峡(三ツ滝コース)は初級向けであり、ガイドスタッフや特別な装備なしでも散策することができるため、下呂観光のひとつとして皆さんにおすすめできる場所である。
■明治座クラシックコンサート
加子母明治座は、加子母集落のほぼ中央にある芝居小屋で、下呂駅から南へ22q、中津川駅から北へ32qほどの場所に位置する。明治座では年に一度、地域住民が役者となって歌舞伎公演を行っているが、同じく年に一度、明治座クラシックコンサートが開催されている。平成10年に第1回が開催されて以降、毎年開催されており、今回で19回目となった。
客席に指定席はなく歌舞伎公演同様升席となっており、観客は思い思いの姿勢で音楽を鑑賞していた。畳敷きに座るため舞台に向かう傾斜は緩やかであり、1階席で舞台面より高い座席はない。そうした自由な鑑賞スタイルや舞台と客席との位置関係には、コンサートホールにはない芝居小屋ならではの雰囲気を感じられ、とても新鮮であった。プログラムとしては、バッハのチェンバロ協奏曲など4曲が演奏され、2部制2時間20分ほどの公演となった。曲間に楽器紹介をしたり、休憩時間に観客を舞台にあげて楽器を間近で見せたりと、演者と観客の距離を縮める演出があった。過去複数回訪れている人も多く、地域の恒例行事として定着しているようである。
外にはテントが張られ、加子母土産や明治座土産が販売されていた。こうした屋台はイベント時以外には出店していないが、本年4月より明治座内にショップが開設されている。明治座にお出かけの際には土産物にも注目されてはいかがだろう。
■苗木城跡
苗木城跡は、明治座から南へ27q、中津川駅から北へ道程6qほどにある山に残っている。天文年間(1532〜1555)に遠山正廉によって築かれた山城で、山頂には天守を構えていた。岩山という制約された環境で平坦な土地を確保するため、懸造(かけづくり)と呼ばれる建築技法で土台を組み上げていた。現在は遺構として石垣が残るのみだが、石垣にあいた柱の穴を利用してやぐらが組まれ展望台となっており、そこからは木曽川や恵那山、中津川市の中心部が一望できる。
苗木城は、近年天空の城として注目が高まっているが、その所以は単に城跡が高台にあるからではなく、展望台に上るまでに天然の巨岩の数々に圧倒された後に高台からパノラマを望むという一連の体験をするからだと思う。ぜひ一度体感していただきたい。
小坂の滝めぐり公式サイト http://www.osaka-taki.com/
かしも明治座HP http://meijiza.jp/
苗木遠山史料館HP http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/museum/toyama/
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