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岐南町新庁舎 見学レポート

 岐南町の新庁舎は、2012年に設計コンペが開催され、昨年7月に完成した。コンペは西沢立衛氏ら3人の建築家が審査員を務める本格的な建築コンペとあって、アトリエ系の設計事務所が多数参加し話題になった。最優秀賞に選ばれたのはkwhgアーキテクツ。長谷川逸子・建築計画工房で、多くの公共建築の設計に携わった川原田康子氏、比嘉武彦氏2名が代表を務める設計事務所である。
 kwhgアーキテクツ案のコンセプトは、「街につながり人が集まる庁舎」。比嘉氏は「庁舎、中央公民館、健康相談センターという複合機能を、垣根を越えた、あいまいな、新しい公共空間を提案できないか、さまざまな人が出会うことで生まれる刺激の場を連鎖的につくりたかった」と語る。
 そのコンセプトを基に提案された空間は、5階建ての庁舎棟の周りに、中央公民階、保健相談センターが入る低層棟を、曲面の切妻風の屋根でT字形に覆うという構成で、敷地のどの方向からでも市民がアクセスできるよう工夫されている。曲面の屋根は、手が届くほど低くまで軒が下げられ、思わず歩いてみたくなるヒューマンスケールな空間を作っている。12月の段階では外構が工事中であったが、イメージパースでは、軒下空間と植栽との関係が魅力的で、壁に作られたベンチに座って、ちょっと一服でもしたくなるような、居心地のよい空間が提案されていた。こうした、建物と街が接する中間領域のデザインが素晴らしく、「街につながり人が集まる庁舎」というコンセプトを現代的なデザインで表現した、新しい公共施設となっている。

外観
白一色に塗られた現代的な外観
建物周囲
建物周囲には、低く抑えられた軒下空間が作られている
建物内部
屋根の曲面がそのまま表れた内部
(2016.1.5/堀内研自)