現在の位置:TOP>名古屋まちづくり紹介>まちづくりあれこれ>世界遺産登録10周年を迎えた熊野古道と丸山千枚田 WWW を検索 スペーシアサイト を検索

 

世界遺産登録10周年を迎えた熊野古道と丸山千枚田

 熊野古道「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産(文化遺産)登録を受けて10年を迎えた。その当時、国内の世界文化遺産としては10例目の登録だった。
  熊野古道は、和歌山、三重県、奈良県に亘り広がる霊場と参詣道を対象としているが、数多くある世界遺産の中でも、数百キロにも及ぶ参詣道で世界遺産登録されているのは、この紀伊山地のほかにはサンティアゴ・デ・コンポステラ市の巡礼道(ピレネー山脈を経由しスペイン北部を東西に通る道)だけという。
  この6月に熊野を訪れる機会があり、改めて世界遺産 熊野古道を意識してみたが、世界遺産登録の話題は、昨年の富士山のインパクトが強く、熊野古道が登録から10年も経っていたのか、というのが率直な印象。ただ、10年を迎えるにあたり地元では式典や花火大会などのイベントが実施、計画され、観光客向けの特産品販売所の整備など、盛り上がりをみせていた。
  古道巡りは今回出来なかったが、古道とともに熊野の観光スポットとなっている丸山千枚田に出向くことができた。丸山千枚田は、かつて2,200枚ほどあったが耕作者不足などから荒れ、当時の首長や地元のリーダーが奮起し、地元農家との話合いを重ね保存会を設立。その後、機械で棚田を整備し、手作業で畦作りや草を刈り復元させ、現在は約1,340枚となり、その光景が写真愛好家などにも知られ、観光スポットとなった。数年前から山間を舞台にした自転車レース「ツールド熊野」も開催されている。
  高台からの景色は、斜面に一枚一枚が緩やかな曲線で形どられた棚田が美しく広がり魅了される。訪問前に目にした特集番組では千枚田の景観をより美しく見せるため、稲穂が垂れる向きも意識して田植えをしていることや棚田がより美しく撮影できるスポットのPRなど、地元住民や関係者の努力が紹介されていた。
  今回の訪問で、とある古道への入り口付近に暮らす地元の人と話す機会があったが、古道や千枚田を訪れる人も最近は少なくなったらしい。それでも、新たに自動車専用道が整備され、以前は名古屋から5時間近くかかっていたが現在は3時間弱でアクセスできることから、また少し増えてきた印象らく、それに伴い古道入口付近での駐車マナーやごみの投げ捨てなど、日常生活環境への影響増を不安視していた。
  世界遺産登録がされた地域では地域活性化へ盛り上がる半面、保存と観光資源活用、そこで暮らす人々との生活の共存など、様々な影響、課題を抱えるが、この熊野も同じで最後は来訪者のモラルやマナーとなる。今回は叶わなかったが、機会があれば熊野古道での行政や地元住民等の取組み成果にも触れられるよう、稲穂が実り夕陽に映える頃の千枚田とともに再び訪れてみたいと思う。

丸山千枚田
田植えを終えた丸山千枚田

(2014.7.22/村井亮治)