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岡崎信用金庫資料館

 先日、旧岡崎信用金庫の資料館を訪れた。当地における近代建築の第一人者であった鈴木禎次氏が設計した建物である。鈴木禎二氏は、東京駅など国家を飾る代表的な建物を数多く設計した辰野金吾氏を師と仰ぎ、名古屋工業大学建築学科の創成期の教育を支えた人である。2008(平成20)年3月に国の登録文化財となった。
 外観は、レンガ造と地元の御影石を組み合わせたルネッサンス風の重厚な洋風建築であり、1917(大正6)年に旧岡崎銀行本店として設立された。1945(昭和20)年に空襲を受けた際、建物の内部は焼失したが、外郭は奇跡的に残った。戦後になって、岡崎商工会議所が土地・建物を取得し、建物内部を木造、1階部分を執務空間、2階部分を会議室として使用された。
 その後、建物が老朽化し、規模も手狭になったことから、会議所が移転し、建物は取り壊される運命にあったが、地域から保存の声が上がり、地元の岡崎信用金庫が土地・建物を取得した。外観は創建当時の屋根を模して復元され、建物内部に鉄筋コンクリート造の資料館を新たに造り、1982(昭和57)年に開館した。
 館内は無料公開しており、1階には「市民ギャラリー」を設け、地域の人々がアートの発表の場などに活用されている。音響もよいためコンサートの会場にもたびたび使われるという。私が訪れた際は、絵画、写真、手工芸などの作品展が行われていた。2階は、貨幣にまつわる様々な展示がされ、お金に関する歴史や現在使われているお札の製造工程・偽造防止の技術を学ぶことができ、地元小中学生の社会見学も受け入れている。
 岡崎市中心部の「二十七曲り」と呼ばれる旧東海道沿いのシンボル的な建物であり、企業が地域に開放する施設の好例と言える。気軽に中に入れる施設なので、岡崎を訪れた際に足を運んでみてはいかがでしょうか。 

岡崎信用金庫資料館 外観
岡崎信用金庫資料館 外観

赤い絨毯の趣ある階段を上り、2階の貨幣資料館へ
1階 市民ギャラリー
1階の市民ギャラリー
(2012.3.12/浅野健)