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まちは変わり〜懐かしさが新しい・駅南地区/愛知県豊橋市

 新豊橋駅やココラフロントなど新しい施設がオープンし、さらに芸術文化交流施設の建設が進むなど大きな変化をみせている豊橋駅前大通南地区。地域の人たちが主体的にまちづくりを進めていきたいと「豊橋駅前大通南地区まちなみデザイン会議」を立ち上げられたのが平成20年8月。2年半にわたる議論やアンケートやヒアリング調査、ワークショップでの意見などを踏まえ、地域の人たちが行動を起こすための方向性を示すまちづくりビジョンとしてとりまとめられ、先日(6/1)豊橋市長に報告を行うとともに、今後の活動への支援要請が行われた。

  「まちは変わり〜懐かしさが新しい・駅南地区」はこのまちづくりビジョンのキャッチフレーズである。初めてここを訪れる人は、水上ビルという独特の特徴を持つ建物に驚く。その名の通り、水路(牟呂用水)の上に建設された建物であり、東西800mにも及ぶその姿はまちの背骨のようにもみえる。昭和40年前後に建設された下が店舗、上が住宅という3〜5階建のビルであり、そこには当初から営業されている菓子、花火、玩具、雑貨といった問屋に加え、ブティックなど若者が経営するこだわりの店が新しくオープンし、渾然一体とした魅力を有する。この魅力を活かし、アートを通じてコミュニケーションの機会を創出していこうと、その名も「sebone」というアートイベントも平成16年度から毎年開催されている。
  多くの飲食店があるのもこのまちの特色であり、古い建物を活用した店も増えている。地区への来街者に対するアンケートでは、年齢層によってまちに対する評価が分かれており、若い世代ほど、「このエリアは魅力的」「歩いて楽しい」「夜のにぎわいがある」と思うものが多い。歴史の積み重ねが生み出すレトロ感が逆に若者には新鮮に感じられるのだろう。
  ビジョンではこのようなまちの特徴を活かし、5つのエリア設定を行い、まちの将来像を描くとともに、「歩く」をテーマとしてエリアごとに「まち歩き指南」ともいえるサブテーマを設定した。人々の交流の拠点となるような広場を生み出すとともに、まちなかを回遊させるような魅力をエリアごとに生み出していこうというものである。その具体的方向として、8つのまちづくり指針を定めるとともに、5つの重点事業を設定している。さらに、まちづくりへの思いを「まちづくり憲章」として提唱している。

 このビジョン作成にあたっては、当初より豊橋技術科学大学大貝研究室が協力されていたが、2年目よりとりまとめのコンサルタントとして当社も関わらせていただいた。独特の雰囲気を持つまちの魅力とともに、まちづくりに対する地域の人々の意欲が伺え、大きな可能性を感じた。受託業務は終わったが、今年度より顧問として継続して参加させてもらうことになった。ビジョンの実現に向け、興味深い取組みが展開されることを期待したい。


地区の航空写真。左中央から右下に連続する建物が「水上ビル」(写真出典:まちづくりビジョン)

水上ビル(豊橋ビル、1・2階は店舗、3〜5階は賃貸住宅)

水上ビル(大豊ビル、1階〜3・4階を個人が所有)

大豊ビル
(4階建の部分は後から増築された)


橋の欄干が残る
飲食店が並ぶ路地

古い建物を活用した焼き肉店

5つのエリアの歩き方指南のイラストを掲げたまちづくりビジョンの表紙

5つのエリアの将来像と歩き方指南

■駅前大通
 ブレない軸・豊橋のシンボルストリート
   〜“はればれ”歩きで出会いが一杯〜

■駅1エリア
 洒落た通りと魅力的な路地のあるまち
   〜“にこにこ”歩きで夢気分〜

■駅2エリア(狭間児童広場周辺)
 まちなか発展につながる交流のかなめ
   〜まちのオアシスで“ほのぼの”ひと休み〜

■水上ビル

 なつかしさが新しい・豊橋の“せぼね”
   〜“ぶらぶら”歩きで宝物さがし〜

■駅3エリア
 広がり生み出す暮らして楽しいまち
   〜いつも元気で“てくてく”ウォーキング〜

 

 

(2011.6.6/石田富男)