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大須301ビルの新たな展開/名古屋市中区

 名古屋市初の組合施行の市街地再開発事業で「中華街」整備などにより話題を呼び、華々しく開業した大須301ビルは、5年目を迎え、空店舗などの増加・賃料の下落などにより厳しい経営環境に陥っている。
 オープン当初から301の商業施設は、大須商店街と同様に、営業権利者と新たに出店したテナントから構成される店主会の主体的な商業運営に期待された。しかし、多様な業種や価値観の違う営業者の集合体は、商業運営のノウハウもなく、テナント会が依頼したコンサルタントやイベント会社に頼らざるを得なく、ある意味他人任せの販促活動や環境整備を展開したが、集客力の維持は図れず、徐々に客離れを生ずる結果となった。

  そこで、5年目を迎えるにあたり、店主会の総会において、店主会を改組し、今後の商業運営については、従前権利者の出資する不動産運用会社である大須商業開発(株)が商業ディベロッパーとして、本来の役割を果たすことの必要性を確認した。会社も商業運営のノウハウがなく、4年間で経営体力を消耗していることから、リニューアル等を含めた抜本的な改善・整備が困難であり、即効的な効果が期待できないことから、今後は単なる販促活動にとどまらず、地域貢献イベントにより徐々に集客力の回復をめざす事業計画もあわせて承認された。
 その第一弾として、301ビルのメディカルプロムナードに出店している薬局や商業・業務床のテナントの協力及び会社役員等のネットワークを活用し、父の日である6月15日(日)をメインに5日間にわたる「健康フェア」を実施する。また、夏のイベントにあわせ、名古屋周辺の芸大との連携により、「大須」をテーマに、ビル内の壁を利用した壁画コンテストや「うちわ」デザインコンテストも実施する。こうした地域貢献イベントは、毎年継続し、徐々にネットワークを広げることにより、単に301ビルのイベントではなく大須のイベントに発展させていくことを目標としている。
 その他にも消費者参加型のイベントの計画もあり、従前権利者が主体的にテナントの協力を得て活動しようとする試みは、これまでと違う展開になろう。大須商人が主体となって「大道町人まつり」をはじめ、多くの人々のネットワークと協力を得て多様な活動をしたことにより、大須商店街が衰退から脱却し、全国有数の商店街に生まれ変わったように、大須301ビルがその精神を受け継ぎ、再生されることを期待したい。

(2008.6.4/浅野泰樹)