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桑名のまちづくり読本 「まちづくり極意 くわな流」 ができるまで
  「桑名のまちづくりブックが作りたい」という話を市役所の名物課長Iさんから伺ったのが2000年の夏頃。ちょうど桑名市では、東海道宿駅制定400年・桑名開府400年記念事業として、2001年度に平成のまちづくり「くわなルネッサンス」を開催することになっており、これまでの桑名のまちづくりを総括し、市民とともに新しいまちづくりを進めるきっかけとなるまちづくりブックを作成するということは興味深い取り組みであった。後で聞くとその頃、発行された「まちづくりブック伊勢」に刺激を受け、それに負けないものをつくりたい、という思いがあったという。私自身も、浦安の「まちづくりがわかる本」に刺激を受け、こんな本づくりに関わってみたいと思っていたところだった。

 編集委員会が立ちあがったのは2000年の年末。委員長に伊勢ブックの作成にも関わられた三重大学の浅野聡先生にお願いし、桑名に対する熱い思い入れをもった市民、歴史家、建築家、都市計画家、大学の先生、市役所の職員などが参加。私も事務局として参加した。
 当初、数回の会議で本の構成・目次を決定し、分担して執筆に入るつもりが、編集委員の桑名とまちづくりに対する思い入れが交差し、なかなか本の構成が決まらない。ようやく「(ゆるやかな)目次構成案」として本の骨格がまとまったのが、翌年10月の第8回編集委員会。2001年度中に発行をという当初の目論見は大きく狂ってしまった。実際に原稿を分担してからも、委員会で意見交換する中で何度も文章を変更し、こんなことで本ができるのだろうか…と思ったのは私だけではなかったようだ。 2002年7月からイラストレーターに参加してもらい、実に味のあるイラストができあがり、12月からは編集デザイナーの参加によって、実際の本の形にすることによって、ようやく本の形がみえはじめ、実に2年半、22回の編集委員会を経て「まちづくり極意 くわな流」ができあがった。

 この本づくりにあたっては、市民に桑名のまちのよさを知ってもらい、まちづくりに関心をもってもらうため、机上の作業だけではなく、桑名の財産目録をつくり、実際にまちに出て確かめたり、様々な分野の人々へのインタビュー調査を行ったりした。2002年の8月には市民から有志を募り、試読会を開催し修正を加えた。イラストレーター、出版社、編集デザイナーを選ぶにあたっても、複数の候補の中から、くわなのまちづくり本にふさわしい人を編集委員会で議論して決定した。このようなプロセスを経ることによって、時間はかかったが、これまでに作成されたまちづくりブックとはまた違った、独自の味のある本ができあがったのではないだろうか。
 また、この本づくりの特徴としてインターネットを多いに活用したこともあげておきたい。編集委員会のメーリングリストを立ち上げ、委員会の記録をすぐにまとめて確認するとともに、委員会で言い尽くせなかった意見も出し合った。さらに、編集委員会のホームページも作成し、作成のプロセスを紹介するとともに、今後は、「まちづくり極意 くわな流」と合わせて活用してもらうことで、よりまちづくりの和を広げていく場として活用していきたいと考えている。

6月末に開催された第22回の編集委員会では、今後、蛤倶楽部としてこの本を活用した活動を展開していくことが確認され、そのための様々なアイデアを出しあい、その後の打ち上げでは、蛤倶楽部をNPO法人にという夢に語られた。この本づくりをきっかけに、桑名のまちづくりの輪が広がることを期待したい。  


「まちづくり極意 くわな流」は、7月中旬頃より三重県内及び名古屋市の書店で販売予定。発行所:中日出版社、AB判、96ページ、カラー8ページ、他2色。定価:本体1200円+税。スペーシアでも取り扱っています。

イラストより

2002.8の試読会の風景
 

(2003.6.30/石田 富男)