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ITを利用した産地活性化にむけて、はじめの半歩?

〜岐阜陶磁器協同工業組合の取り組み〜

 岐阜県陶磁器工業協同組合(以下、岐工連)が美濃の産地活性化に向けて、ITを活用しようと奮闘している。14の組合で成り立っている美濃焼産地を一致団結させ、新しいイメージをつくり、活路を開拓していこうとする試みである。

 元来、美濃焼とは市之倉・下石・駄知など、一つの地域が滋賀の信楽焼ぐらいの規模である14の地域から成り立っている。言ってみれば、14の中規模産地が、一つの大きな産地としできているのである。これまで、大量生産路線を歩んできた美濃焼は、陶磁器業界のなかではマスプロの美濃焼として知られている。常滑焼なら急須、信楽焼なら狸の置物などという風に、何らかのイメージが浮かぶが、美濃焼としてピンとくるものはあまりないのではないだろうか、つまり産地としての顔を持たないのが美濃焼の特徴なのである。

 今回、岐工連が業界IT化に向けて立ち上げた、委員会への各組合からの参加者は、それなりの意識を持った人たちであり、産地の将来を見据えしっかりとした考えを持っている。しかしながら、それぞれの提案は、各組合・地域の環境の違いもあり異なっている。組合が、オンラインにつながっているパソコンを所有していないところもある。いますぐに、インフラを整えることも非常に難しい。環境が整わない状況のなかで、美濃焼全体が大きな一つの会社となって、第一歩を踏み出すことは困難である。

 現在、岐工連のホームページを立ち上げる計画のもと、委員会でコンテンツを考えている。一体なにができるのか、IT化計画という大儀名文のもと、少し焦りもあるが、莫大な予算がかかることは現時点では必要ない。それよりも、産地の人間が容易に参加しやすいコンテンツづくりを目指して欲しい、産地下の600社以上ある各メーカーの、日替わりでの紹介やコラムがあっても充分に面白い。

 これまでに、岐工連の音頭のもと、美濃焼のイベントや交流会は行われてきているが、将来へ向けての、あるひとつの方向性を持った企画や事業は、あまり行われてこなかったのが現実だ。今回、14の組合が足並みを揃えて、一つの共同のホームページづくりをすることは、非常に意義がある。10年後を視野に入れたベクトルを、ここからスタートさせるには大切なことである。

 産地全体にインフラ設備が整い、みなにITに関する知識と技術が付いてきたときに、岐工連のサイトが美濃焼のオフィシャルな入り口となる。そして、モノの流れを活発化することが最終的な目的だ。衰退している産地が先端技術を駆使して、大きな一歩を踏み出すとは言えないが、将来の繁栄のための、小さな半歩を踏み出すチャンスは充分にある。ビジョンつくりとして関わっている以上、これから産地に必用な、確実なベクトルを示したいと考えている

(2001.10.19/藤沢 徹)