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産地が復活する日 
〜有松「シボリドットコム有松」平成13年4月7.8日 オープン〜

 名古屋市緑区、東海道筋の有松絞りで有名な町です。この有松の「絞り作家」、問屋と職人とを結び付けてきた「絞り型職人」、有松の街づくりに尽力してきた「お米屋のご主人」の3人の仲間が、有松内の空家だった日本家屋を利用して、この4月に「有限会社 シボリドットコム有松」を設立しました。絞りという伝統工芸の産地に生きてきた3人は、新時代に向けてその技術をただの土産物としないため、また、その産業の活性が、結果的には街道筋の街並みを維持・保存していくことだと考え、モノづくりの新しい挑戦をはじめたのです。

 とにかく絞り(産地産業)が儲からなければ産地はなりたっていかない。そこで絞りの新分野を開拓していくため、まずは、インテリア・エクステリアの分野とのコラボレーションに取り組んだ。タペストリーやリネン系のハウスウエアとしての布に絞りを使う、それ以外にも、ガラスを絞るという技術を使ったインテリア照明、またコンクリートに絞りの技法を使い、アートな外壁材への提案なども進めています。 

 土地区画整理事業等が進む中、有松の街並みは今、少しずつ様変わりしています。シボリドットコムは、街並み保存のためにも、意識的に街道からすぐの空家となった古い民家を利用しました。商品のショールームであるのと同時に、将来的には一般に向けたギャラリー、有松の街並みや絞りを紹介するコミュニティ・スペース、また、技術伝承、教育の場としての地域拠点にしていきたいというのが「シボリドットコム」の夢です。

 今のところランニングコストの問題に阻まれ、日常的なオープンまで漕ぎ着けてはいないものの、連絡さえすれば、本人たちの可能な限り街並みや産業の紹介・案内の対応はしてくれるそうです。(彼らは今までもワークショップ通じて街並みや伝統技術の紹介を希望団体や小学生にも行ってきました。)

自分たちの産業をもう一度活性させる。そのためには、伝統的なシステムだけに頼ったり、甘んじているだけではいけない。有松のほかにも、瀬戸や常滑の陶磁器産地の様々な試み、岐阜駅前のアパレル産地のSPA(岐阜駅前問屋街の一条通りが今月から第2土曜を一般消費者にむけて営業)など、地域の可能性にもう一度夢をみて、個の単位でもとにかく一歩踏み出そうとしている人たちがいる。頑張れ、産地!

(2001.4.20/山内豊佳)