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まちづくりにはトイレが大事/山本耕平 著

北斗出版/1996年10月出版
 「まちづくりには(  )が大事」。( )の中に適切な語句入れて文を完成させなさい。このような問題が与えられ場合、皆さんはどのような言葉を連想するのであろうか。

 本書を読めば、その解答のひとつが「トイレ」であることが理解できる。阪神大震災は、多くの犠牲の代償に様々な課題や教訓を与えてくれた。「トイレ弱者」の存在もそのひとつである。健康な一般人が仮設トイレで"不便"を感じている中、高齢者や障害者などの「トイレ弱者」はそれ以上の"不便"を感じ、水分や食事を減らしてトイレを我慢し健康を害したそうである。「トイレ弱者」とは、トイレの使用頻度の高い人や一般のトイレでは利用が困難な人を指し、災害時だけに存在するのではない。その救済策としてバリアフリートイレが整備され始めている。しかし、誰でも使えるはずのトイレは「車いす専用トイレ」と誤解されていたり、管理側の都合で鍵がかけられていたりする場合がある。また、高齢者や障害者がまちに出る際にバリアフリーで問題にされるのは階段や段差だが、それよりトイレの存在有無のほうが重要という話はあまり知られていない。バリアフリーの思想を正しく理解した上で、誰もが使いやすいトイレを整備することが、快適に生活できるまちづくりに結びつくのである。

 まちづくりにおけるトイレの重要性が認識できる貴重な一冊であり、是非読んで頂きたい。
(2003.4.3/山崎 崇)