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インターネットで家が建った/大戸浩+来馬輝順+篠原啓史著

光芒社/2000.3.10

 表題から今はやりのインターネットビジネスについて書いたものかという印象を受けるかもしれない。
 それがこの本にとって幸か不幸かはわからないが、ここに書かれているのはインターネットの技術論ではなく、家を建てるにあたってのプロセスであり、施主と建築家とのコミュニケーションの重要性だ。ここでも、インターネットの有効性がやはりコミュニケーションツールとしての役割にあることを示している。

 本書の大半がインターネットを通じた3つの家づくりの実例紹介に費やされている。インターネットがこれまで接点のなかったクライアントと建築家の出会いを生みだしている。実例ではインターネットではじめて建築家を知って設計を頼んだという。
さらに、実際に家づくりを行うにあたってもクライアントと建築家、さらに施工を行う職人とのコミュニケーションをとる上で電子メールが重要な役割を果たしている。ここでは、電子メールによって打ち合わせ方法が一変し、時間的な制約がなくなるばかりでなく、文章にすることでより密度の濃いコミュニケーションが可能になったことが紹介されている。

 一般の人が戸建住宅を持とうとすると、建売住宅を購入するか、住宅展示場で住宅を選んでハウスメーカーに頼むというのが普通であり、建築家に設計を依頼するというのはごく限られていた。しかし、本来の家づくりにおいて建築家の果たす役割は大きく、これからのストック重視の社会においては、ますますその重要性が高まってくるものと考えられる。インターネットがこのような建築家との家づくりを進める手段となれば、これからの家づくりも変わってくるに違いない。

(2000.3.3/石田富男)