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アートによるまちづくりプロジェクト「Arts Towada」(青森県十和田市)

 先月(2010年5月)に、青森県十和田市を訪れる機会に恵まれ、そこで拝見したアートによるまちづくりプロジェクト「Arts Towada(アーツ・トワダ)」を紹介したい。
Arts Towada(事業名称:野外芸術文化ゾーン整備事業)は、十和田市の中心市街地に位置する約1.1kmのシンボルロード「官庁街通り」全体を美術館と見立て、アート作品の設置、十和田市現代美術館の建設、アートプログラム(街中展覧会)の開催を行うものである。省庁再編による国の事務所の統廃合や合同庁舎整備に伴う出先機関の転居などによる空き地を活用し、景観づくりや中心市街地活性化のために、2005年度から5か年計画で段階的に整備が進められた。2008年4月には通りの北側に拠点施設「十和田市現代美術館」が開館し、2010年4月には美術館から通りを挟んだ向い側に体験型の大型アート作品が展示された「アート広場」、通りの歩道にはストリートファニチャー作品(ベンチ)が整備された。
 「官庁街通り全体を美術館として見立てる」というコンセプトが感覚的に理解できることは非常に素晴らしい。美術館と通りの間には柵などの仕切りもなく、屋外展示作品はもちろんのこと大きなガラス面を持つ展示室内の作品も外部の通りから見ることができる。美術館の中からも外の通りやまちを感じることができる非常に開放的な建築物である。歩道やアート広場には、実際に座ったり、内部に入ったりすることのできる様々なベンチ型の作品や大型のアート作品が展示されているため、子どもだけでなく大人も楽しんでいる姿を見ることができた。
 Arts Towadaのグランドープン記念展「草間彌生 十和田でうたう」は美術館内に留まらず、300mほど東に位置する中央商店街の店内に作品を展示したり、店舗のガラスやショーウインドウ一面に水玉のシールが貼られていたりした。商店街にまで草間彌生の独特の世界が拡がっている様子に驚くとともに、商店街の積極的な協力にも驚いた。
 アート作品や美術館というハード面の整備は完了し、今後中心市街地や十和田市全域で様々なアートプログラムが開催されることが期待される。今後も注目していきたいまちづくりの取り組みである。

東側から見た官庁街通りの歩道と美術館(右側)
東側から見た官庁街通りの歩道と美術館(右側)
南側のアート広場から見た官庁街通りと美術館(奥)
南側のアート広場から見た官庁街通りと美術館(奥)
アート広場に置かれた巨大なカボチャの作品に入る子ども
アート広場に置かれた巨大なカボチャの作品に入る子ども

(2010.6.21/山崎 崇)


○十和田市現代美術館・Arts Towadaグランドープン記念展
http://www.city.towada.lg.jp/artstowada/
http://www.artstowada.com/gp/kusama.html

<関連ページ>
「金沢市民芸術村と金沢21世紀美術館を視察(2010.5.10)」
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2010/kanazawa/index.html

「美術館の可能性」/並木誠士・中川理 著」
http://www.spacia.co.jp/Mati/tosyo/bizyutukan.html