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新開地まちづくりNPO/神戸市
  1月に港まちづくり協議会(名古屋市港区築地地区)のメンバーとともに神戸市の新開地まちづくりNPOを訪問した。新開地まちづくりNPOは、新開地周辺地区まちづくり協議会において立案されたまちづくり構想を、市民主導で推進・調整する組織として1999年に設立されたもので、タウンマネージャーとなる事務局長(古田氏)を中心に多彩な事業が行われている。築地地区と立地条件やまちづくりの背景などで類似点があり、今後の組織づくりの参考にしたいというのが訪問のねらいである。

  新開地まちづくりNPOはすでに設立後8年が経過しており、その中で多様な経験が積み重ねられ、参考となる事項が多かった。それらの中からここでは築地地区のまちづくりにおいて特に参考としたいと感じた点を紹介したい。
  まず第一に、まちづくりの取組みの視点である。新開地まちづくりNPOの活動・事業の基本方針は「ファンづくり」であり、「B面の神戸」をまちのコンセプトとしている。音楽祭や映画祭といったイベントを開催するにあたっても、まちに来た人をどうやってまちのファンにしていくかということを考えている。名前を登録してくれた人にミニコミ誌を定期的に配布したり、女性限定の新開地ツアーを開催したり・・・。すべての人に支持される必要はない。10人のうち1人が支持してくれればよい。「ご当地ファン」を増やすと、その人たちがまたファンを増やしてくれるという考え方である。単に当日の集客数だけを成果と考えるイベントが多い中で重要な視点であると感じた。
  第二に、まちづくりNPOに企画立案能力のある人材を確保し、その人が生き生きと活躍している点である。事務局長の古田氏をはじめ5名のスタッフが音楽祭・映画祭をはじめ、店舗プロデュース事業、まちなみデザインの誘導、灯りのまちなみづくり、コミュニティ環境整備、新開地ファン創出のための情報発信など多様な事業に取り組んでいる。自信をもった話ぶりから、自らが楽しみ、生きがいを感じながら取り組んでいる様子が伺える。よい人材を迎え入れるためにも、そこで働いてみたいと思わせるような環境づくりが重要であると感じた。
  第三に、行政との関わりである。音楽祭の開催にあたり、実行委員会形式をとっているのは、行政が安心してお金をだせるからだという。NPOが直接やると規約がいろいろ難しいが、音楽祭のためだけに実行委員会をつくり、このためだけにお金を使うようにすれば緩やかな運用ができる。新開地も築地もボートピアが建設され、その売上の一部が地域に還元されることになっているが、その効率的な使い方として参考になると感じた。

  港まちづくり協議会は発足して1年余。はじめての試みでまだまだ十分に機能しているとはいえない。先進事例に学びながら、よりよいまちづくりにつなげていくことを期待したい。
ビッグマンと呼ばれるゲートのモニュメント


ボートピアとモニュメント


新開地まちづくりNPOの入り口

NPOが維持管理を担当するポケットパーク
  (2008.3.3/石田 富男)