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京都の景観づくり 〜新景観政策〜 /京都市
  住まい・まちづくりに係わる愛知のコンサルタントで構成される協議会「通称:まちコン」の春恒例の視察会に参加し、京都を訪問した。視察会では、下鴨神社(賀茂御祖神社)や下鴨神社の西を流れる賀茂川周辺を見学し、具体的な景観政策については京都市の職員から直接お話しを伺うことができた。
 京都市では、歴史的な町並みや建造物を保全するため、昨年度より、新景観政策が実施されている。新景観政策は、歴史的な町並み・眺望景観や借景・建物の高さ・建物等のデザイン・屋外広告物の5つの政策と支援制度から構成されており、今回訪れた下鴨神社と賀茂川は眺望景観や借景の保全地域(眺望景観保全地域)に指定されている。眺望景観の保全においては、保全の対象となる景観や借景に対していくつかの視点場が設けられており、その視点場から保全対象までの範囲を眺望景観保全地域として、建物の高さや意匠、色彩などを規制している。
 実際に、眺望景観保全地域となっている賀茂川右岸から「大文字」への眺望を視察したが、賀茂川を挟んで古民家、大文字と広がる眺望は非常に素晴らしかった。視点場となっている賀茂川右岸を散策していると、同じ「大文字」への眺望でも、歩くたびにその表情が異なるのが印象的だった。数十分の散策ではあったが、様々な景色を堪能でき贅沢な時間を過ごすことができたと思う。京都市には全部で38箇所の眺望景観保全地域があるが、素晴らしい眺望を求めて視点場を散策するというのも、また京都の新しい楽しみ方になるのではないかと思う。
 新景観政策は、これまでの景観政策よりもより細かく規制が定められ、京都に残る歴史的な景観を残そうという強い意志が感じられる。全国でも歴史的な町並みや建造物が減りその保全が重要視される中、全市的に規制が強化されている京都市の取り組みは先駆的政策とも考えられ、非常に興味深い。これから10年後、20年後の京都市の姿が楽しみである。

 

下鴨神社 楼門

賀茂川右岸から大文字の眺め

賀茂川右岸から大文字の眺め

  (2008.5.7/喜田祥子)