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第3回全国路地サミットと神楽坂
 路地空間が美しい日本の原風景の1つとして見直されている。地域再生においても「路地の美しいたたずまいの保全・再生」が位置づけられ、愛知県では碧南市大浜地区をモデルに支援措置の検討がすすめられている。その調査に関わる中で、全国路地のまち連絡協議会(路地協)の存在を知り、この10月8日東京都神楽坂で行われた第3回全国路地サミットに参加した。

 路地の保全といえば火事で焼失した路地を再生した大阪の法善寺横丁が有名だ。第一住宅建設協会の発行する「city & life no.76」(2005年6月発行)では「路地と横丁空間からの都市再生」が特集され、東京、大阪、京都の路地が取り上げられている。路地協もこれらの地区が中心で東海地区からの参加は我々が初めて。終了後の交流会では全国の人々に大浜の路地紹介も行った。サミットでの報告によると路地にもいろいろなタイプがあるが、大浜の路地は生活路地として地域の景観資源と調和しており、その魅力は他地区にもひけをとらないと思われた。

 サミットに先がけて、午前中に神楽坂の路地歩きが行われた。神楽坂の路地は「工芸路地」とも呼ばれ、花柳界の粋(いき)が路地にも現れている。ピンコロ石の灰色が品格と厳粛さを示し、花柳界の黒塀とあいまって路地に独特の雰囲気を与えている。インターネットの観光案内でも「路地めぐり」がとりあげられているくらいで、散策を楽しむ人も多く、路地沿いには隠れ家のようなおしゃれなレストランも多数できている。花柳界の建物がこんな形で残っていくのは1つの方法として歓迎されている。
 一方で、路地を壊して建てられた高層マンションが異様な姿を見せている。このマンション建設がこの地区でNPO法人粋なまちづくり倶楽部が発足し、様々なまちづくり活動が行われるきっかけとなった。案内してくれた理事長の寺田氏は、まちへの熱き思いを語ってくれた。この地区では街並み環境整備事業が実施されており、その導入にあたり、6階までとする建築協定を定めたが、それが守られないような状況になりつつあり、地区計画の導入をすすめているという。
 神楽坂のまちづくりはそのポテンシャルの高さから、地方に住むものからみるとうらやましく思う面もあるが、その一方で深刻な問題もかかえているといえよう。全国の様々な取り組みの経験交流が全国での路地を活かしたまちづくりの展開につなげればと思う。

兵庫横丁




兵庫横丁




かくれんぼ横丁





地区計画を検討中の路線




兵庫横丁




熱海 湯階段




かくれんぼ横丁・町家を利用したレストラン




正面が路地を壊して作られた高層マンション




路地サミット・西村先生の基調講演


交流会


  (2005.10.15/石田 富男)