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 大湫宿−登録文化財と空き家活用−(岐阜県瑞浪市)

  昨年から1月にかけて大湫宿に係る複数の機会があった。昨年6月から中山道の徒歩の旅を始めたのだが、その7回目と8回目に大湫宿を訪問。その間に愛知登文会(登録文化財所有者の会)の視察で訪問し、1月には都市住宅学会のセミナーで大湫町コミュニティ推進協議会による空き家対策の話を伺った。
大湫宿は中山道の細久手宿と大井宿の間のかなりの高台に位置しており、140世帯、340人ほどの小さなまちである。徒歩の旅で2度訪問しているのは、鉄道駅の関係でここを中継点とせざるを得なかったのだが、最寄り駅は徒歩で1時間近くかかる釜戸駅。最初は延々とした下りを歩き、2回目はその坂道を延々と歩く。そのおかげで大湫宿がどれほどの高台にあるかを実感できた。
 この大湫宿には登録有形文化財が4件あり、その1件が市に寄贈され、活用事業者を市が募集していたことから活用事例として視察対象にとりあげた。外観の修理は市が行い、集客ポイント(飲食店、ギャラリー、体験学習施設、創作活動施設、文化施設等)として活用する事業者を9/20〜11/20にかけて募集し、3件(東京、名古屋、瑞浪)の応募があったという。登録文化財4件のうち3件が空き家で、うち2件が市に寄付され、1件はH29.1より観光案内所として活用されていた。かなりの費用をかけて修復が行われ、訪問した時は着物の展示が行われていた。
 大湫町の取り組みは、昭和40年代末に第1期の転入対策の取り組みがあり、現在は第2期の取り組みとして転入対策委員会が空き家対策に取り組み、陶芸家など10件の転入があった。さらに、空き家の1件は区長会に寄付され活用が始められているという。
  空き家問題は全国的に関心が高まってきており、もてあました所有者から市に寄付したいという話も増加している。登録文化財においても空き家となるものが増加している。瑞浪市が寄付を受け入れたのは登録有形文化財であるということが大きい。修復にはかなりの費用がかかるということで、今後このような形での受け入れは難しそうだ。そのため、区長会が引き受けるということになったということだと思われるが、区長会としてもはじめての取り組みでまずは1ヶ所という段階のようだ。地域の人々による活用は空き家対策の今後の方向性を示していると考えられ、注目していきたいと思う。

活用者募集が行われた登録有形文化財「通称:新森」

観光案内所として活用されている登録有形文化財「通称:丸森」
(2018.3.15/石田富男)