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 バルト沿岸都市視察調査4 補論

  最後にこの期間に撮りだめしてきた写真を掲載し、この視察調査の報告を終わりにしたい。
なぜこんなものがここに?ここにもこれがあったか!そんな場面に出くわすことが多いが、そのなかで面白い事例を掲載する。
 なお、私は海外視察の際に定物観察を行うことにしている。具体的には、マクドナルドとトイレ、マネキンとオープンカフェの4種を対象にしていたが、今回面白いマネキンには出くわさなかった。マクドナルドは、サンクトペテルブルクの都心(ハンバーガーではバーガーキングはいくつか見かけた)で1店、ヘルシンキの都心で3店見かけたが、奇抜なものはなかった。ユニークなトイレはそれぞれの都市で1件ずつ、特に、サンクトペテルブルクの高級レストランでの「Adult Only」は見ごたえがあった。

■民族文化・都市文化は継承されるべきもの
ヨーロッパは陸続きなので、常に攻め・攻められるなかで国家が存亡してきた。宗教、経済、政治体制の版図拡大のなかで戦争が起きた。国家が消滅することはたびたびある。吸収属国化されても、独立を獲得する運動が行われることが多く、その拠り所は民族文化である。その都市、その国の歴史文化は継承されるべきものとして大切にされ、破壊されても膨大なエネルギーをかけて復元される。結果的にそれが観光資源になっているのだが。
そして、国家存続のために、小国であっても経済自立できる産業を模索し、世界に打って出ている。ヨーロッパでは国はもとより、一国内であっても地域の自立意識が高いように思える。それゆえのEUなのであるが、英国のEU離脱やスコットランドの独立運動はその一側面を表したものであろう。

■私的領域の充実と公共空間の充実
経済的成長は個人の所得を上げ、それで私的領域の充実を図ることができる。他方、公共領域については、教会や市役所の前の広場は市(いち)が開催されたりして、住民のための空間として活用されてきた。道路は一時自動車に占領されていたが、都市の中心エリアにモール(歩行者専用道路)が整備され、安心して行き来でき、憩える空間となっているし、一般道路でも歩道部分にはカフェテラスが設置されているのは当たり前の風景である。公園にレストラン、当たり前の風景である。住民の生活の質は、私的領域の充実だけでは不十分で、公共領域の充実と合わせてこそ、質は向上していく。日本は公共空間の利用について規制緩和されてきているとはいえ、まだまだである。

マクドナルド
サンクトペテルブルクのマクドナルド。ロシア語で書かれているが、読み方はマクドナルド。
カフェ
カフェ
歩道上の上にキャノピーのような突き出しで屋外カフェ(2階)が設置されている。1階にもカフェテリアが接地されているが、見える風景は異なる。すでに掲載したが、再掲した。
トイレ
タリンのレストランでのトイレ。最近よく見かける小便器の中にハエが印刷されている。そこをめがけて小便をすると、飛び散りが少なく、清掃時間を短縮できるのだそうな。
ハエの拡大版
同プリントされたハエの拡大版。干からびたハエがクッツイテいるわけではない。
トイレ
ヘルシンキの中央駅のステンレス製のトイレ。小便器の上部に鏡がついている。後ろを見るものだろうか?この写真を撮っていたら、後ろでトイレ清掃の人が「なにを撮ってんだ?」という感じで、清掃道具を持ったまま待ち構えている様子が、鏡に映りこんでいる
レストランのトイレ
サンクトペテルブルクの高級レストランのトイレ。たしか3つのトイレが並んでいたが、」その真ん中のトイレのドアには「Adult Only」と書かれ、何かと思い覗き込むと、壁面三面が春画であふれていた。
メニュー掲示板
タリンのレストランのメニュー掲示板。同様な髪形の家本先生にご登場願って、同じポーズをとってもらった。全く違和感なしに溶け込んでいる。
プランター
タリンの建物の窓際に赤い花が植わったブリキ板のプランター。白黒の世界に赤のカラーが入ると非常に目立つ。
(2017.4.24/井澤知旦)