現在の位置:TOP>まちづくりを学ぼう>視察レポート> 公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり/富山市 WWW を検索 スペーシアサイト を検索

 

公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり/富山市

  毎年行われている愛知住まい・まちづくり協議会の4月交流会の今年の訪問先は富山市。富山市のことは弊社メルマガでも何度か登場しているが、今回は富山市職員の方による取り組みの説明を受け、その後に中心市街地と富山駅周辺を視察した。
 富山市は、国内におけるコンパクトなまちづくりの先進事例として「お団子と串の都市構造」がいろんな所で紹介されている。これは、串を公共交通、お団子を鉄道やバスで結ばれた地域拠点などの徒歩圏と見立てたもので、この都市構造を実現するための3本柱「公共交通の活性化」「公共交通沿線地区への居住促進」「中心市街地の活性化」を掲げて取り組んでいる。
 公共交通の活性化については、JR富山港線のLRT化(日本初の本格的LRTシステム、愛称ポートラム)、市内の電車を一部延伸して中心市街地活性化及び都心地区における市内電車環状線のLRT化(愛称セントラム)が行われている。北陸新幹線開通に伴い、富山駅高架下で2つのLRT路線を接続する構想がある。時間が限られて体験はできなかったが、富山駅北側の環水公園から富山湾へと流れる富岩運河では4〜11月に運河クルーズ「富岩水上ライン」が運行しており、下流ではLRTポートラムと乗り継ぎができ、富山の新たな観光メニューとなっているようである。
 公共交通沿線地区への居住促進については、鉄道、軌道駅勢圏半径500m、バス停圏半径300mの中から都心地区約436ha、公共交通沿線居住推進地区約3,489haを設定し、良質な住宅の建設事業者や住宅建設・購入する市民に対して助成しており、これまで両地区で2,360戸余りに対し助成してきている。
 中心市街地の活性化については、目玉となるグランドプラザが平成19年9月にオープンした。これは、2つの市街地再開発事業のまん中にガラスの屋根をかけて全天候型の多目的広場を整備したもので、市内の一等地を寒冷地でも天候に左右されない「広場」にし、なるべく自由に使え、思い切って使用料を高く設定するなどの方針のもとに運営してきて、ここ数年は年間80%台もの高い稼働率(休日は100%に近い)となっている。料金を高く設定することで質の高いイベントが行われ集客につながっているようだ。これらの取り組みの結果、中心市街地では平成20年度から転入超過になっているという。
 コンパクトなまちづくりへの国際的な評価として、平成24年にOECD(経済協力機構)がとりまとめた「コンパクトシティ政策報告書」で先進5都市の一つ(メルボルン、バンクーバー、パリ、ポートランドと富山市)と紹介され、平成26年には国際連合の「エネルギー効率改善都市」に国内で唯一選定された。こうしたこともあり、国外からの視察も増えているという。
  LRT沿線の中心市街地ではハンギングバスケット、ハンギングバスケット、バナーフラッグが設置されるなど街全体のデザインに配慮され、スタイリッシュなコミュニティサイクル「シクロシティ富山」の運営もされており、様々な取り組みがされていることを垣間見えた。
セントラム
市内電車環状線 セントラム
グランドプラザ
グランドプラザ正面
グランドプラザ
グランドプラザ イベントがない日は市民の憩いの場となっている
ハンギングバスケット
ハンギングバスケット
シクロシティ富山
スタイリッシュなコミュニティサイクル シクロシティ富山
富岩運河
富岩運河 水上クルーズの船が見える
(2015.5.25/浅野健)
関連ホームページ
・図書「にぎわいの場 富山グランドプラザ 稼働率100%の公共空間のつくり方」
http://www.spacia.co.jp/Mati/tosyo/toyamanigiwai.html
・視察レポート「コンパクトシティ・富山訪問 /富山市」
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2008/toyama/index.htm