昨年6月にオープンした第二種市街地再開発事業「虎ノ門ヒルズ」を視察した。
施設は、地下が駐車場、低層階が店舗、上層階はオフィス、住宅、ホテルとなる複合施設で、屋上には、東京を一望できる贅沢な結婚式場もある。地上52階の建物は六本木ヒルズと同じくらい巨大である。施設のイメージキャラクターは、「ドラえもん」ならぬ、白い「トラのもん」が務める。「虎ノ門」は江戸時代、江戸城を守護する白虎が描かれた門があったためその地名が付いたとされており、それにちなんで、白い「ドラえもん」のキャラクターが誕生したそうだ。
事業の特徴としては、まず、立体道路制度を活用している点が上げられる。これは1つの土地で道路と建築を立体的に配置することができるため、土地を有効活用できる制度である。「虎ノ門ヒルズ」では、地下に片側2車線の環状二号線が走り、その中央分離帯部分に柱を建て、地上に超高層ビルを建設している。
もうひとつの特徴は、東京都が施行する第二種市街地再開発事業でありながら、事業パートナーとして民間業者、森ビル鰍ェ参画している点が上げられる。これには、都施行の事業では初となる「事業協力者方式」が導入され、森ビル鰍ェ都市開発ディベロッパーとしてのノウハウを活かし、都と権利者のパートナーとして計画の助言、提案を行いながら、その後「特定建築者」に移行し再開発ビルの建設と保留床の取得を担当した。
近年発生が懸念されている首都直下型の地震対策として、施設には長周期地震動に対応した制震装置や、電気、ガス、重油を組み合わせた3重の非常用電源装置など、最新の防災対策が施されている。また、東日本大震災の時に大きな問題となった帰宅困難者の対応として、3,600人が3日間生活できるように、45,000食の水や食糧、エアマット等の寝具、照明設備、非常用トイレ設備等が防災備蓄庫に保管されている。これらの備蓄品には都から補助対象となる物品の5/6の補助が出ているそうだ。
また、新橋から虎ノ門にかけて新設される環状二号線の道路整備では、東京都が地元と共同して「東京シャンゼリゼプロジェクト」が進められている。これは広い道路幅員を活かし、歩道上にオープンカフェ等を展開することで、パリのシャンゼリゼ大通りのような歩行者の賑わいを作り出すことが狙いだ。 新橋、虎ノ門と言えばオヤジの聖地、というイメージであるが、この再開発をきっかけにおしゃれな街に大きく様変わりしそうである。 |
虎ノ門ヒルズ 外観 六本木ヒルズと同じくらいの巨大な建築 |
記念写真スポットになっている「トラのもん」のフィギュア |
レストランとつながる屋上テラス |
地下の第二環状線の入口の上は芝生の庭園。巨大なアートがある |
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