スペーシアレポート
加藤達志
海部郡飛島村では、村政運営における最も上位の計画となる総合計画を平成12年度から2カ年にわたり策定している。その総合計画のうち、基本構想(村の将来像や将来人口、夢のあるむらづくりプロジェクトなどを決めるもの)を策定するにあたり、村民の意見を積極的に取り入れようと、「飛島むらづくり二十一世紀委員会」を設置した。これは、村民と(正確には村内在住・在勤者)と村職員との協働により構想を作り上げるための組織で、村民と村職員の委員をほぼ同数として議論するものである。村民委員は広報により公募したところ、当初12名の予定が18名となり、村の担当者を驚かせた。メンバーは会社員のほか、開業医、銀行員、公務員、農業・養殖業従事者、主婦など顔ぶれは様々である。 委員会は概ね月に一度開催。最初は専門家による講演会を行い、全国的な住民参加の動きや、健康づくりに関する村民データの分析報告など、勉強会スタイルで実施した。しかし、これまでの村に対する批判が出されるなど、決して活発な意見交換ができたかというとそうではなく、正直先行き不透明なスタートとなった。 その後は3つの分科会により、それぞれのテーマに応じたタウンウォッチングや先進地視察を行うことで、委員の間で情報が共有化され、飛島村の課題や何が必要なのかが明確になってきた。そしてむらづくりプロジェクトの議論では、夜11時過ぎまで議論が続くこともあり、遅れがちであったスケジュールを一気に取り戻し、無事取りまとめることができた。 取りまとめた基本構想は、総合計画審議会で議論され、内容が大きく変更されることなく平成12年度末に村長に中間答申された。そして、今年度中に議決予定で、晴れて来年度から新総合計画に基づく村政がスタートされることとなる。 委員会では、村民委員の積極的な意見に押され、村職員委員が遠慮がちになってしまったことが課題としてあげられるが、それは村職員委員自身、肌で感じ取ったことであろう。村民と村職員や我々コンサルタントがお互いの意見をぶつけあい、その回を重ねることで信頼関係を築きあげることの重要性を改めて認識した。 |
タウンウォッチングの様子 飛島村の将来について熱く語る村民たち |