特集 名古屋の都心考
堀内研自
名古屋の現代的な建築と言われて皆さんは何を思い浮かべますか。セントラルタワーズ、ナディアパーク、その他は? 近年、名古屋でも多くの現代的な空間が生まれています。今回は最近気になった名古屋の現代建築を紹介します。 まず、A〜Eにかけては今、最も旬な透明な建築です。外壁はほとんどがガラスで形態も単純ですが、その表情はぼんやりとした幻想的な雰囲気があります。秘密はダブルスキンと呼ばれる二重の壁を造っていることにあり、この壁の間の隙間空間が奥行きのある不思議な透明感を生み出しています。 次にF〜Iは白さが魅力の建築です。真っ白な空間は、都会の雑踏とのコントラストにより強調された、ピュアな感覚が目を引きます。それはまるで空間のコラージュのような面白さがあります。 JとKはレトロでモダンな建築。雰囲気気は、近年ブレークしたイームズのエッセンスがあり、古きよきミッドセンチュリーのモダニズムを感じさせます。 最後にLとMは古いビルを大胆に現代的な空間に蘇らせた物。Mは地下駐車場をギャラリーにしたもので、入口を入っていきなり斜めの車路空間はインパクトがあります。Nは古い旅館に若い感覚の個性的な店舗を集めたもので、レトロでポップな雰囲気が味わえます。 さて、ページをぐるりと回る形でさまざまな建物を紹介してきましたが、最初と最後のAとMはまったく正反対の建築でありながら、どちらも人気を集めています。Aは伝統的なブランドを最新の建築で包んだもの。Mは長年使われつづけた老建築に若く新しい力を詰め込んだもの。どちらも古さと新しさがうまくぶつかりあって魅力的な空間を造っています。 現代建築は、奇をてらったデザインや難解なコンセプトで敬遠されがちですが、都市に存在することで、新しいものと古いもの、複雑さと単純さ、日常と非日常、そういった相反するものをうまく衝突させ、都市を刺激します。こうした刺激を敏感に捉えるともっと名古屋の街を楽しむことがでるでしょう。みなさんも住所と写真を頼りに名古屋の現代建築を訪れてみてはいかがですか。 |
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A.LOUIS VUITTON NAGOYA |
B.ONWARD 名古屋支店 |
C.名古屋商科大学大学院 |
D.OPAQUE名古屋 |
E.LE CIEL BLEU |
F.CASSINA INTER-DECOR |
G.VITA |
H.釜山 |
I.DOORS |
J.CROP KLEUR |
K.ななや |
L.ウエストベスギャラリー コズカ |
M.さくらアパートメント |
■所在地 A. 中区錦3丁目16-17 B. 中村区名駅南4丁目11 C. 中区錦1丁目20 D. 中区栄3丁目15-36 E. 中区栄3丁目3-1 丸栄1F F. 東区泉1丁目23-30 名古屋ナショナルビル1F G. 中区栄3丁目1524-2 VITAビル H. 中区錦2丁目11-2 I. 中区栄3丁目21-12 クイーンビル1F J. 東区泉1丁目23-34 山田ビル K. 中区栄3丁目10-19 ななやビル L. 中区丸の内1丁目9-7 バンケービルB1 M. 中区栄3丁目28-111 |