スペーシアレポート
村井亮治
「再開発組合設立」昨年のこの紙面でも紹介した「大須30番地区市街地再開発事業」が新たな展開をみせたことから簡単に紹介する。再開発事業は、平成11年12月に都市計画決定がされ本格的に動き出した。その後、それまで検討してきた事業計画について、さらに熟度を高めるための協議や行政等との調整を重ね、昨年6月に愛知県に対して組合設立認可の申請を行い、8月に認可がなされた。また、隣接する第2地区では7月に個人施行の事業認可がされた。そして、9月13日に「大須30番第1地区市街地再開発組合」の設立総会と第1地区及び第2地区の事業認可の記念披露パーティが開催された。 今回の二つの事業は、名古屋市で初めて民間主導で進められることから周囲の関心も高く、公職者を始め愛知県、名古屋市及び関係各機関から総勢約130名ほどの出席があり、組合の設立と事業認可を祝った。残念ながら公務により欠席された愛知県知事及び名古屋市長からは、代理の方を通して事業認可のお祝いや今後の事業への期待などのメッセージが伝えられた。大須30番全体の準備組合設立から約9年、ようやくこの日を迎えることができた。 「魅力ある商業空間の創出に向けて」一方、商業計画については施行地区が名古屋を代表する庶民の街、活気ある大須商店街の玄関口に位置することから、商業としての魅力や賑わいをどう演出するかがポイントとされ、他地区にはないユニークな計画が求められていた。そこで立案されたのが「大須中華街」構想である。ビル内に「中華」をテーマにした飲食店等が配置されるもので、これが実現すれば今までの大須にはない、全く新しい商業空間が創出されることとなる。「再開発視察団 中国へ」地元ではこの構想の実現に役立てようと昨年七月に中国南京市及び上海市を訪れ、政府関係者を表敬訪問し、大須で計画されている内容を説明し、お互いの親交を深めている。また権利者は、中国の雰囲気を醸し出す空間演出やデザインの参考にするため、夫子廟(南京市)、豫園(上海市)の二つの商店街を視察し、街並みや建物のデザイン、色彩等を直接みて、計画のイメージを膨らませている。 「新世紀も発展を続ける大須」再開発事業は、大須のさらなる活性化という目標のもとに、隣接する第2地区と協調・協力体制を図り、また地元の理解を得ながら進められてきた。その結果、本組合の設立という節目を迎えることができた。そして、新世紀にふさわしいまちづくりと新しい魅力を備えた賑わいと活気ある商業空間の創出に向け、これまでの検討の成果を実らせる時期にきた。今回の事業が起爆剤となり、大須が新しい時代も発展し続けていくことを期待したい。 |
南京市政府関係者との会談風景 |
■第1地区計画概要 敷地面積:約 2,200u 建築面積:約 1,970u 延床面積:約15,050u 住宅戸数:45戸 用 途:商業・業務・住宅 規 模:地下1階 地上12階 |
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■第2地区計画概要 敷地面積:約 2,800u 建築面積:約 2,490u 延床面積:約22,490u 駐車台数:392台 用 途:商業・業務・駐車場・その他 規 模:地下1階 地上9階 |