視察レポート

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都市索道 YOKOHAMA AIR CABIN

 

2021年春、横浜・みなとみらいに都市索道が誕生した。「索道(さくどう)」とは聞き慣れない言葉だが、索条(=ワイヤロープ)でけん引されるロープウェイやゴンドラ、リフトなどの乗り物のこと。日本ではリゾート地に多いが、横浜では桜木町駅前から新港地区の運河パークまで、都市内を結ぶ「YOKOHAMA AIR CABIN」(以下、エアキャビン)が建設された。先日、乗車する機会があったのでご紹介したい。

 

エアキャビンの乗り場は桜木町駅の駅前広場に設置されている。地上3階ほどの高さにある乗り場からゴンドラに乗り込むと、駅前の大通りを越え、終点の運河パークまでは海上を渡る。乗車した日はあいにく雨だったが、横浜の名所である汽車道や日本丸を眼下に空中散歩できるのは面白かった。ゴンドラは冷暖房装置も備えており、真夏や冬でも快適に利用できそうだ。

新港地区側の終点、運河パーク駅には5分ほどで到着。駅は商業施設「ワールドポーターズ」に直結で利便性も良い。これまで新港地区へのアクセスはバスか徒歩しかなかったが、エアキャビンはアトラクションを兼ねた新たなアクセス手段として賑わっていた。

 

さて、日本では数少ない都市索道だが、海外では都市内の公共交通として導入された事例も多い。ボリビアの「ミ・テレフェリコ」は総延長30km以上にわたる大規模な都市索道網で、都市の渋滞緩和に貢献している。

また、国内では交通インフラベンチャー企業が、都市部向けの全く新しい自走式ロープウェイ「Zippar」を開発中。カーブにも対応できるシステムで設計の自由度が高く、鉄道やモノレールに比べて建設費用や工事期間も大幅に抑えられるそうだ。2025年、大阪万博での実用化を目指しているという。

 

これまで活用されていなかった都市の空中は、空飛ぶクルマやドローンなど「空の移動革命」をきっかけに注目を集めている。リゾート地の乗り物というイメージが強かった索道・ゴンドラも、使い方によっては都市の空中を使った交通手段として役立ちそうだ。新たなシステム、技術が開発され、都市交通としてどのように活用されていくか、ぜひ注目していきたい。

 

桜木町駅前広場の乗り場
桜木町駅前広場の乗り場
路線の全景。中間支柱は5基中3基が海中に設置されている。
路線の全景。中間支柱は5基中3基が海中に設置されている。

 

YOKOHAMA AIR CABIN

https://yokohama-air-cabin.jp/

 

ZipparZip Infrastructure株式会社)

https://zip-infra.co.jp/

 

(2022.6.6/西田龍人)

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