視察レポート
Report
阪急京都線高架下 SHARE DEPARTMENT
名古屋市内では名鉄瀬戸線の尼ケ坂駅~清水駅間の高架下約500mにおける商業開発として2019年3月~2000年3月にかけてSAKUMACHI商店街がオープンしている。それまでは貸駐車場として利用されていた住宅地の一角に、飲食・物販やアパレルショップ、レコードショップ等が出店し、賑わいを生み出している。まちに新しい魅力を生み出した取り組みとして注目していたが、近年、各地で高架下活用の動きが進んでいるようだ。
阪急京都線の洛西口駅~桂駅間の高架下を阪急電鉄と京都市が連携しながら進めている「TauT阪急洛西口」は、2018年10月に1期エリア、2020年1月に2期エリア、そしてこの2月に3期エリアがオープンし完成を迎える。飲食・物販のみならず、京都市交流促進・まちづくりプラザやマルシェなどのイベントが行われる「トートひろば」、コミュニティ花壇などもあり注目できるが、その中で今回紹介したいのが、3期エリアに出店した5つのテナントのうちの1つである郊外型ワークプレイス「SHARE DEPARTMENT」である。
ROOMと呼ぶ12のシェアショップ・オフィス(約6㎡)とBOOTHとよぶ6つのオフィスや書斎として利用できるブース(約3㎡)、DESKとよぶ6人が利用できるコワーキングスペースから構成されている。2月の開業にむけ、施設利用の検討者を対象とした見学会が行われるということで検討者ではないが、見学に加えさせてもらった。
出店したのは首都圏でシェア施設を展開している(株)タウンキッチン。これまでに東京・神奈川の10か所でシェア施設を手掛けている。創業者や小商いをはじめる人が初期費用を抑えて小さな店や事務所を開設することができる。小金井市のJR中央線高架下「ののみちヒカゴ東」の「MA-TO(マート)」も同じコンセプトの施設だが、こちらでは飲食として使える施設やシェアキッチンもある。実は「MA-TO」に関心を持ち、視察に行ければと思って調べていた際に「SHARE DEPARTMENT」の見学会のことを知り参加したというところ。こちらでは飲食がないので、その理由を聞いてみると、立地条件が理由ではなく設備的な制約から飲食を入れられなかったとのことだった。「MA-TO」のシャアキッチンは盛況とのことで、どこでもシェアキッチンは可能だという。
見学会には本屋を開業したいと考えている女性が参加されていた。創業者の悩みに応え、その思いを支援していこうという仕組みもこれまでの取組みの中で生み出されているようだ。若者の思いを活かすことがまちの魅力づくりにつながっていくのではないか。名古屋においてもこのような取組みが広がっていけばと思う。