名古屋まちづくり情報
Information
- HOME
- 名古屋まちづくり情報
- 名古屋市内の公園あれこれ
名古屋市内の公園あれこれ
コロナ禍で身近なオープンスペースに対する関心が高まっているように感じ、名古屋市内の公園を意識的に巡ってみた。かつては画一的であまり利用されていない公園が多い印象を持っていたが、多様な特徴を持つ公園がいくつもあり、多くの利用者がみられた。訪問時という限られた季節、時間帯、天候での印象ということになるが、特徴的な公園として5のカテゴリーにわけて紹介したい。
- 1)テント利用
近年の利用で特に増えたと感じているのが、テントを持ち込み、そこでくつろいでいる姿である。小幡緑地ではpark-PFIによってキャンプサイトが整備されているが、その他の場所でもテントが張られていた。大高緑地には恐竜滑り台のある人気の広場があるが、その隣の遊具広場でもテントを張っている人がいた。名城公園では花見でテントを持ち込んでいる人が何人も見られた。こんな風景を見ると、やってみたいと思う人も増えるのではないかと思う。
2)歴史を感じる公園
-
名古屋市内には日本の歴史公園100選に選定された公園が4つ(鶴舞公園、名城公園、徳川園、久屋大通公園)あるが、それ以外にも歴史を感じる公園は多い。多くの利用者がいる公園だなあと巡ってみた志賀公園もその1つ。志賀公園は織田信長の補佐役を務めた平手政秀の邸宅跡を中心に計画されたものであり、関連する石碑が建立されているほか、名古屋市内で10か所ほど設置されたラジオ塔も残されている。大正15年に告示された都市計画公園の一つが公園化されたもので、区画整理組合によって昭和5年に造成されたという歴史を有しており、長い時間をかけて整備されたその変遷も興味深い。地域の人々に愛され利用されてきた公園というところだろう。
-
- 3)防災公園
地下鉄川名駅に直結する川名公園は、市街地の防災性能を向上させるために、新たに整備された5.5haの防災公園である。その計画を最初に知った時、市街地にこんな広大な公園を新たに作ることができるのだろうかと思ったものだ。平成8年に最初の説明会を開始し、23年かけて平成31年に完成した。防災上の様々な設備が整えられているのが興味深いが、それよりも特筆したいのが、多様な人々がそれぞれに楽しんでいる姿だ。冬場でも夏休みの早朝でも多くの利用があった。地域住民に愛用される公園として育っていくことを期待したい。
-
- 4)オアシスの森
民有地を借地し、散策路、ベンチなどの整備を行うオアシスの森。相生山緑地が最初だと思うが、調べたら市内に7か所あった。細根公園もその一つ。開園は平成23年4月なのでもう10年以上になる。手づくりの案内板しかないが、散策路はきれいに整備されており、特定愛護会の方の尽力が伺える。尾張名所図会にも掲載されている歴史のある地区で、十四景の一つ湛然堂址もある。神秘的な妙音池も魅力的だ。
5)住民の声が反映された公園
整備の段階から住民が関わり、その声が反映されることで公園に対する愛着が増す。もう25年前になるが港区の稲荷公園の再整備に関わった時に感じたことだ。たまたま前を通りがかった時に多くの利用者がいて驚いた高蔵公園。ここも計画づくりワークショップを経て再整備された公園だった。元は県営公園と市営公園が並立する形で共用されていたものが、平成28年に県営区域が市に管理移管されたことを契機に再整備されたという。市職員の方が執筆された論文をネットで見つけて知ったが、高低差を活かした遊び場のデザインや藤棚・花壇の復活(公園のシンボルとして親しまれていたものの老朽化のために撤去されていた)、古墳を活かした整備など様々な工夫がされていた。絵タイルで飾られた花壇に、花壇のデザインに込めた子どもたちのコメントが記載されているのも微笑ましい。
よく利用されている公園には物語があると改めて思った次第。市内で訪れていない公園はまだまだ多数ある。公園の物語を探しに公園巡りを楽しみたいと思う。