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かつての宿場や御殿に思いを馳せて~宮の渡し・大瀬子地区のまちづくり~
名古屋の中で代表的な歴史まちづくりの熱田エリア。年間700万人が訪れる熱田神宮をはじめ、東海道唯一の海路だった宮の渡し、東海最大級の断夫山古墳、白鳥庭園など歴史文化の集積エリアである。熱田神宮の南に位置する宮の渡し・大瀬子地区は、江戸時代には旧東海道に53ある宿場の中で最大だったとされる宮宿があり、戦前も魚問屋や商店街があってとても栄えた場所である。名古屋グルメを代表するひつまぶしの老舗「あつた蓬莱軒」本店の周辺といえば、ご存知の方も多いと思う。
その宮の渡し・大瀬子地区で、2018年に徳川美術館の原学芸員(当時)が、17世紀に作られた東浜御殿の見取り図を発見したのをきっかけに、地元でまちづくりの機運が高まり、2019年4月にまちづくり協議会が発足した。この東浜御殿は、1634年に徳川三代将軍家光が京都へ上洛するのに合わせて初代尾張藩主の徳川義直が造らせたとされ、明治までの約二百三十年で泊まったのは、三代将軍の家光ただ一人だった。宮宿・七里の渡しの東にあり、東西122m、南北100mと広大な敷地で四方は海に囲まれていた。将軍の宿泊のための御殿と言えば、名古屋城の本丸御殿がすぐに思いつくが、熱田神宮のすぐ近くの東浜御殿も同様な使われ方をしていたことになる。また、この地区には西浜御殿も存在し、西浜は大名が利用したとされている。
こうした中、地元の建築士の人が、東浜御殿の復元図を基に3D動画を作成し、YouTubeで公開した。また、コロナ禍の中で2020年7月から8月上旬にかけて、手漉き和紙をはじめ様々な紙を扱う地元の店舗「紙の温度」のギャラリーで、「七里の渡し 風景画屏風展」が行われ、東浜御殿の見取り図や屏風、魚問屋の屏風などが展示された。地元では、今後も宿場や御殿に思いを馳せ、街のにぎわいづくりに取り組んでいく。熱田エリアは、名古屋城周辺とともに名古屋の歴史文化を代表する所であり、今後のまちづくりの動きに注目していきたい。
東浜御殿(熱田御殿)の再現イメージ(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=kYA6UXFDMZs
紙の温度 ギャラリーの案内ページ
https://www.kaminoondo.co.jp/gallery/