住まいまちづくりコラム

Columun

SNSの有効な活用 -オンラインショッピングVS店頭販売:次世代消費者を考えたデザインの事例から-

 

 Twitterは情報収集するのに便利なSNSである。フォローさえしていれば、待つだけで情報が流れてくる。しかも、国内だけでなく海外の都市情報を得ることもできる。私がフォローしているアカウントの中でUrban Land InstituteはアメリカのワシントンD.Cにあるシンクタンク、研究所であり、86日新しい記事を流した。記事の内容はざっというと、消費者文化が低迷しているアメリカ社会では、店頭販売がオンラインショッピングに打ち勝つ戦略や、その両者が共存しているのかをショッピングモール、店頭販売、そしてブランド戦略の3点から説明したものであった。以下はその内容である。

 

 数々のモールがつぶれていく中で、売り上げを伸ばしているモールは、オンライン小売業と競合するだけではなく、オンライン小売業を非常に驚かせている。彼らに共通しているのは、モールとは言い切れないほど、計画を練っていることだ。彼らはコミュニティの真の中心となり、柔軟性、適応性、そしてレジでの売買を超えて家を出る理由を提供する。タイソンズコーナーを例にとると、たんにモールではなく、事実上の都市である。メトロの多様な交通アクセスの利便性、IMAX映画館、ホテル、オフィスビル、屋外広場、子供の遊び場、想像を絶するあらゆる種類のレストランや小売ブランドがある。買い物客は1つのアイテムを買うためにタイソンズに向かうのではなく、一日中そこで過ごすのだ。

 今日の小売業者は、ブランド露出、階層化された経験、および顧客サービスに焦点を当てているが、賢明な小売業者は、店内とオンライン小売を区別しなくなり、販売は販売とし、顧客に遍在する経験を提供することを目標にしている。つまり、店頭とオンラインで同様の体験を提供しようとしている。オンラインショッピングの利便性を競うことができないとき、店での体験を忘れないようにする必要があるからだ。

 しばしば、人々がブランドについて考えるとき、小売業者の名前、ロゴ、タグライン、または広告キャンペーンが思い浮かぶものだが、賢明な小売店やモールでは、ブランドの中核となっているのは、買い物客と共鳴する一貫した流れを確立することにある。世界で最高の商品を販売することはできるが、過度の小売環境では、ほとんどの買い物客が顔なじみの会社を選ぶだろう。友人やその他のインフルエンサーからの推奨が購入行動に大きな影響を与える。実際に、若い消費者ほど影響を受けやすく、信頼できないし、聞き飽きた広告を聞く可能性は低い。代わりに、インフルエンサーマーケティングを取り入れたブランドは、拡散していくコミュニティとそのパワーが基本的な商売文句以上に宣伝効果が大きくなっていく。

 結局のところ、小売業者が気を散らして時間を浪費している消費者の注目を集めるためには、目立つ必要がある。つまり、プロモーション、店舗デザイン、ブランディングを正しいものにし、次世代の買い物客にとって常に革新的なものにすることが重要なのだ。

 

 この記事を書いたジェフ・ガンニングは、CallisonRTKL(米1946年創立の建築事務所)の執行役員であり、ショッピング/エンターテイメント、ホスピタリティ、住宅など、ボルティモアに本拠を置く北米商業慣行をリードしている。カール・ジェフリーは、同社の小売業の副社長だ。 サラ・キムスは人間中心のデザインとブランド環境の創造を専門とする環境スタジオの副社長兼リーダー。 CallisonRTKLのダラス事務所の3人はすべて練習中。同社はタイソンズ コーナーセンターとアラ・モアナを設計し、REI(屋外品協同組合)はクライアントだそうだ。

 毎回、この研究所が出すアーバンランドマガジンは勉強になる内容が多く、たくさんのフォロワーがついている。英語でかなりの長文なので、読んでいると集中力がもたないが、少しずつ慣れていきたい。

 

(2018.8.28/神谷佐菜)

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