住まいまちづくりコラム
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博物館明治村の楽しみ方
愛知登文会で明治村の小冊子を作成することになり、10月に年間パスポートを入手。以来、取材・写真撮影で4回、プライベートで6回訪問している。明治村には64の建造物が移築されており、うち11が重要文化財、1件が愛知県指定文化財、残りが登録有形文化財となっている。これらすべてを一度で回りきる事は難しい。ようやく全てを回ってみたが、その中で感じた明治村の楽しみ方と言うものを記してみたい。
1 )建物ガイドを楽しむ
通常では立ち入れない場所を案内してくれる建物ガイドが5カ所ある。5カ所とも見ごたえいっぱいだが、中でもオススメなのは坐漁荘だ。
西園寺公望が興津に建てた別荘で 2012~14年に改修工事が行われ、2017年に重要文化財に指定された。一旦移築されたものを返してほしいと言う要請があり、結局興津に坐漁荘が復元されたという曰く付きの建物である。
ガイドでは基本同じ説明がされる。特に坐漁荘は見どころがいっぱいで15分の案内時間で終わらせるため次から次からと案内される。じっくり見学したい時は最終回の15時に行くのがいいかもしれない。時間延長して案内してくれた時もあった。
その時の質問で坐漁荘の向きが元とは異なっていることがわかった。説明では入鹿池を太平洋に見立てたと言うことだが、元の向きでもその見立ては可能である。その時はその理由まではわからなかったが、どうやら明治村を訪問した人にとってどのように見えるのが1番カッコいいかで決められたようだ。こんなことを考えながら見てみるのも面白い。
2)ボランティアガイドを楽しむ
ボランティアによるガイドは、明治村の集客力が落ちていた平成10年に始まったと言う。今では5つの丁目ごとのコース案内と3つの建物の案内がある。
ボランティアによって話す内容は異なっており、同じ方でも話す内容を変える時があると言う。非常にディープな案内をしてくれる方もいて面白い。北里柴三郎が写っている写真に森鴎外も写っていたなんて写真の説明にも書いてない。
1人でも案内してくれるのでいろんな質問もできる。雪で閉村になった翌日、ガイドは中止と告知されていたが、現地にいた方に声をかけたら、特別にその日に参加しようと思っていた2丁目のコースと神戸山手西洋館まで案内してもらえた。
神戸山手西洋館を初めて訪問した時、その特異な形態に驚いた。西洋館の裏側にはもう1棟建物が立っており、その2階には西洋館の2階からしか渡ることができない。しかもその部屋は和室なのだ。私のお気に入りの建物の1つで、パスポートの写真にはこの建物を選んだ。1日2回しか中を見学することができないのが残念だ。
3)イベントを楽しむ
明治村では、様々なイベントが行われている。呉服座では観客が枡席に座ってイベントを楽しむことができる。明治偉人隊のショーや音楽イベント、阿川村長との対談もここで行われた。昔は一枡に4人が座っていたと言うのは結構窮屈そうだが、大いに賑わっていたことだろう。そんなことを想像しながら見るのも楽しい。
謎解きゲームを楽しむ人は多い。初心者向けのウォーリーを探せに参加してみたが、結構難しかった。楽しみながら回れるのが良いが、難しすぎると建物を見ている時間がないかもしれない。
4)変化を楽しむ
明日村を何度か訪問して思ったことは、その時々で違った姿を見せてくれることだ。
聖ザビエル天主堂はステンドグラスが見所だが、ステンドグラスを通過した光が床に当たる姿がすばらしい。しかしそれはいつも見ることができるわけではない。時間によってその姿が変わっていくのも面白い。
光の変化という点では、鉄道省機械館も興味深い。これは村瀬良太氏に教えてもらったのだが、窓ガラスの何枚かに微妙な色がついている。水色のものが多いが、時にピンクや緑に見えたりする。写真ではそれがわからないので、目の錯覚かもしれない。
紅葉や雪の日の風景も良い。
今回取材で訪問して知ったのだが、公開されていない場所でも非常に見ごたえがあるところがある。公開にはいろいろと課題があるようだが、見学できる箇所が増えることを期待している。