視察レポート
Report
シェアサイクル・レポート2 奈良バイクシェア
レポート第2弾は奈良市。今年の2月に平城京を旅した際に見つけ、東大寺への移動手段として利用してみた。
このシェアサイクルはドコモ・バイクシェアが平城宮跡歴史公園の指定管理者 (共同事業体「平城京 再生プロジェクト」の構成員)として、公園の開園日と同じ2018.3.24より開始しており、平城宮跡歴史公園への誘客に加え、奈良を訪問する観光客の回遊性向上、および、地域住民の日常の交通手段としての利用を目的としている。料金は最初の30分が150円で、延長30分毎に100円(税抜)。クレジット決済。スマホがあれば、その場で登録、利用予約をして、パスコードを入手し、予約した自転車にパスコードを入力すれば利用可能だ。見つけたサイクルポートで手続きできるので便利だが、入力項目が多く手間取ってしまった。1日利用は1,500円。電動アシスト自転車で乗り心地はよい。観光客の長時間利用も想定しているのだろう。サイクルポートは当初(2018.5.27の記事)は9か所程度と少なかったが、今年の2月時点では、ローソンなどを含め34か所に増えていた。
利用した時は気がつかなかったのだが、奈良市では同じく3月に中国発の大手シェアバイク「Mobike」がサービス提供を開始していた。ネット記事では「シェアバイクにおける奈良市と奈県の不毛な争い」と題し、奈良県がドコモ・シェア、奈良市がMobikeを押し、ポートの互換性がなく、WEBサイトでもお互いを無視しているかのような印象を受けると紹介していた。実際、それぞれのWEBサイトを見てみたが、今でもそのとおりであった。
Mobikeは使ってないので、以下はネット情報だが、料金は30分毎に120円。専用アプリをダウンロードし、クレジットカードで料金をチャージし、自転車についているQRコードを読み込むと開錠し、利用可能。こちらは電動アシストではないようだ。
ドコモ・バイクシェアが赤で、Mobikeがオレンジ。奈良バイクシェアを返却した際、オレンジの車体があったが、それがMobikeだった。MobikeはQRコードの読み込みで対応できるので、ポートがどこでも関係ない。中国ではmobikeの放置自転車が問題となったが、このシステムに起因している。
奈良市のmobikeを検索してもあまりヒットしないと思っていたら、「シェアバイク『Mobike』、中国以外の事業を撤退か」という記事(2019.3.11)を見つけた。札幌市、福岡市、奈良市、大磯町でサービスを展開したが、2018.5.22に大磯町でのサービス開始に関するお知らせを最後に公式ブログがストップしており、新しい動きはないという。1都市で2つのサイクルシェアが成立するとは、さすが観光都市と思ったが、やはりそんなに甘くはないようだ。
民間事業としてサイクルシェアが成り立つことが普及にとっては不可欠だ。まずは観光都市での利用が広がり、利用経験者が増えていくことが求められる。電動アシスト車を利用する奈良バイクシェアについては、観光都市での効率的で快適な移動手段として、利用は広がっていくのではないかと思う。