視察レポート
Report
シェアサイクル・レポート4 シクロシティ富山
レポート第4弾は日本ではじめてシェアサイクルを本格導入した富山市。昨年5月の都市計画学会中部支部のまち歩き+公開研究会に参加した際に利用してみた。
富山市が推進するコンパクトシティ政策の1つとして2010年3月20日運営開始。近距離の自動車利用の抑制を促し、二酸化炭素の排出量の削減を図るとともに、中心市街地の活性化や回遊性の強化を図ることを目的としており、昨年の時点で8年の実績を有する。
特徴は基本料金(1日パスだと300円、定期パスは700円/月)を支払えば、最初の30分間は無料。すなわち、30分以内ごとに乗り継げば、基本料金だけで利用できることになる。なお、31~60分の利用の場合は200円、61分以降は30分毎に500円必要となるので、3時間余り借用した場合は2,200円となる。レンタサイクルのつもりで利用すると大きな出費となってしまう。そのようなトラブルが多いためか、借用の際に係の人がその点を強調していた。まちなかの単距離移動に利用するというのが前提のようだ。
2日パス(基本料金500円)、7日パス(基本料金1,000円)、定期パスはWEBで登録でき、サイクルステーションにあるターミナル(パネル)を操作することで借用できる。1日パスの場合は、ホテルや駐車場などでカードを借用する必要があり、デポジット料金700円が必要だ。カードを5か所の市営駐車場に返却する必要もあり、その点は不便だが、はじめての場合は戸惑うので説明してもらえるのはよいかもしれない。ステーションは当初15か所であったが、現在は23か所に増えている。
世界でシェアサイクルを手掛けるフランスのJCDecaux(ジェイシードゥコー)の子会社が運営。自転車やステーションのデザインは洗練されており、ターミナルの裏面は広告となっている。名古屋市では市バス停をJCDecauxの子会社MCDecauxが広告収入を原資として、市の負担なしにバス停上屋の製造設置、維持管理を行っているが、ここでは、ステーションの整備は富山市が行っているようだ。ターミナルなどステーションの整備には費用がかかりそうであり、それを含めて民間でというところまではいかないのだろう。富山市以外での展開も念頭においた子会社だと思われるが、富山市に続く都市が現れないのは、そんなところに要因があるように思う。
(2019.5.2/石田富男)