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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)   □[第463号]2018/4/25□  □配信数 732□


スペーシア・メールマガジンの第463号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆住まい・まちづくりコラム◆
 ・天白川の外来種問題
 ◆図書紹介◆
 ・「知られざる地下街」歴史・魅力・防災・ちかあるきのススメ
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○天白川の外来種問題○

 最近、池の水を抜いて、外来種を駆除するテレビ番組が始まり、各地でさまざまな
外来種が捕獲されている。名古屋城でもアリゲーターガーが捕獲され、話題になった。
 私が所属している天白・川辺の楽校では、活動フィールドである天白川中流域で毎年
子供たちと一緒に生き物観察をしているが、天白川も類に違わず、外来種が多数確認
されている。ブルーギルなどの魚類のほか、特にミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)の
増え方が顕著に感じる。天気の良い日には、水面から出ているブロックには甲羅干しを
するカメでいっぱいだ。繁殖もしているようである。
 そんな状況を懸念し、昨年秋になるが、なごや生物多様性センターに同行して天白川の
カメ類を調査した。2カ所に仕掛けを設置し、約80匹を捕獲したところ、実に9割近くが
外来種という結果だった。外来種の問題は認識していたが、ここまでとは、驚いた。
もう完全に外来種中心の生態系になってしまっている。
 天白・川辺の楽校では、子どもたちが川と触れ合えるまちを目指しているが、それも
健全な川があってこその目標である。外来種の問題にどう対処していくのか、大きな
課題である。
(櫻井高志)

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 「知られざる地下街」歴史・魅力・防災・ちかあるきのススメ ○
 /廣井悠、地下街減災研究会著/河出書房新社/2018年3月12日発行
  
 名古屋の地下街の話題を中心にまとめられた一冊。著者は、平成24年から名古屋
大学減災連携研究センターに准教授として着任された廣井悠氏。名古屋在住を機に
名古屋らしい研究テーマとして地下街に着目され、本書の発行にいたった。
 地下街は、全国に80ヶ所あるとされ、愛知県は東京都に次いで2番目に多く、その
ほとんどは名古屋市内だが、市外で唯一あるのが蒲郡駅地下街で、その距離は僅か
22mと極端に短く珍しい地下街として紹介されている。
 名古屋市内の地下街には日本初の本格的な地下街と言われている地下街がある。
名古屋駅周辺で整備されているサンロードで、1957(S32)年に開業している。ただ、
著書の中で名駅地下街(メイチカ)や栄地下街(森の地下街)も同年開業としてあり、
どれも開業60年周年を迎えた。地下街の街「名古屋」の所以である。
 各地の地下街の概要とともに、地下街における自然災害などリスクに対する安全性が
どう保たれるのかについて紹介されている。自然災害で第一に思うのが地震だが、
近年の震災に遭った地下街では崩壊など大きな被害は出ていないという。地中とともに
揺れるため地下街は地震に強く安全な空間にもみえるが、耐震補強等が実施されて
きている。
 地震以外の災害リスクとして、火災と浸水がある。視界を遮り立ち込める煙と足元を
取られかねない浸水、どちらの場面でも、利用者を安全に地上へ避難させるため、
その避難経路確保にむけ、管理会社では様々な工夫を凝らし技術を導入してきている。
特に近年は、爆弾低気圧にみられる異常気象、大雨災害が頻繁に発生し、地下街への
浸水リスクも高まりつつあり、浸水を防止、または遅延させる工夫など、実例写真などで
紹介されている。
 その一方で、地下街が担う機能の一つに災害時の一時避難機能(帰宅困難者受け入れ)
も有しているとしている。利用者には、偶然居合わせた地下街で一時避難する場合でも、
避難所ではないため物資配布や要看護者への対応など、共助の意識が必要と記している。
 名古屋の代名詞であり身近な空間である「地下街」。その歴史や安全で快適な空間整備の
取組みを知るとともに、いざという時の心得についても役立つ一冊であった。
(村井亮治)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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 先日読んだ本に、面白い気づきをもらった本があったので、もしよろしければご一読
いただければと思いメールした次第です。
面白いと感じられれば、頂戴しているメールマガジンいてご紹介いただくのもよいかと
存じます。ご参考まで。

 「街の公共サインを点検する(外国人にはどう見えるか)」大修館書店 本田弘之、
岩田一成、倉林秀男(日本語学や日本語教育学等言語学の先生のようです)。2017年
8月10日発行。
という本です。興味深いところはいろいろあるのですが、その中でも次の2つが印象的
でした。

@在住外国人への案内をかんがえると「ひらがな表記」を加えた方がよい
私も公共空間のサインを作ったことがありますが、インバウントの増加を考慮し「日本語
(漢字)+英語」という組み合わせで作ることが多かったと思います。
ただ増加傾向にある在住外国人には中国等アジア人や南米の方が多く、彼らは平仮名を
勉強している方も多いとのことで、「ひらがな表記の追加」が有効との内容でした。
日本語+英語+ハングル+中国語+ポルトガルの順かなと思っていましたが、ひらがなの
追記が有効とはこの本を読むまで思いつきませんでした。

A公共空間は「注意喚起」が多すぎて注意喚起になっていない
これは多くの人が感じておられることと思いますが、更に「文字情報が多く、じっくり読まないと
わからない」という指摘もありました。
各担当が「指摘をする人には、書いてあるでしょ、言うため」という責任逃れ目的になっている
可能性が高いからかもしれません。
これに対して「注意喚起をするにはどうすればいいか」も記載されています(基本はわかり
やすいピクト+少ない文字のようですが、決定的な結論の記載はないような気がします)
ここは賛否両論あるかと思いますので、ご検討・ご議論いただければと存じます。

この本は名古屋都市センターの図書館でお借りしたものですし、1800円とそう高くはない
本です。皆様、公共空間のデザインと合わせ、サインも考えられる方々だと思いますので、
ご一読いただければ幸いです。

〜名古屋市瑞穂区・堀岡整様より情報提供いただきました〜
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・「読者の声」でご紹介させていただいた「街の公共サインを点検する(外国人にはどう
 見えるか)」を読みました。 実際に使う人・ユーザーの声を聞かずに作ったため、
 使いにくくなったと思われるようなケースが幾つも紹介されていました。まちづくりや
 施設づくりに携わる方々が陥りやすい典型例だと思われ、ぜひ一読をおすすめします。
 (T.A)

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